2010年7月27日
オーストラリアのロマンティック・コメディ『センタープレイス』
「砂漠ではない、オーストラリア人の身近な生活を描きたかった」とベン・シャックルフォード監督
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010の5日目、社会派作品の多いコンペティション部門のなかでは数少ない、肩の力を抜いて見られるオーストラリアのロマンティック・コメディ『センタープレイス』が上映された。
メルボルンに住むリジーは、もうすぐ恋人と移り住む夢のパリのことで頭がいっぱい。だが突然彼に別れを切り出され、アパートは火事になって寝る所もないどん底生活に。そんな折、かつての恋人や恨んでいた父に再会し、身勝手だった自分を見つめ直し始める……。
リジーの働くブティックがある、タイトルにもなっているセンタープレイスは、メルボルンに実在する通りの名前だ。
「有名ではないけれど、地元っ子なら誰でも知っている場所。美味しいコーヒーが飲めるカフェや、スープ、寿司を出すレストラン、風変わりなブティックもある」と、上映後のQ&Aでベン・シャックルフォード監督が説明してくれた。
「ほとんどのオーストラリア映画は砂漠で撮影されていますが、実際に砂漠に住んでいる人はほんのわずか。町に住む一般的なオーストラリア人のライフスタイルを描いた映画はこれまでほとんど作られてこなかったんです。ですからまず、自分の良く知る町で自分たちの身近な生活を描きたかった」。
しかし繁華街の交通を遮断し、長期間ロケ撮影するのは予想以上に大変だったとか。「手間もお金もかかるし、なぜ町で撮影したがらないのかわかりました(笑)」。
全編を心地よく彩る音楽は、「80%はメルボルンのミュージシャンもの。あとの20%はオーストラリアのその他の地域のものです」と、ここでも地元へのこだわりを見せる。
リジー役のジュリア・マルコフスキは舞台女優で映画初出演だが、元恋人役のサリヴァン・ステープルトンはオーストラリア映画“Animal Kingdom”やテレビで活躍する俳優で現在ハリウッド映画に出演しており、「第二のラッセル・クロウ」と呼ばれているとか。俳優たちの魅力も楽しめる作品だ。
『センタープレイス』の次回上映は7月31日(土)10時30分から映像ホールにて。作品紹介と監督プロフィールはこちら。