2010年7月30日
デジタル映像の世紀を担う子どもたちに映像教育を
映画祭関連企画「カメラクレヨン『映像学習の向こうに』 SKIPシティ映像学習の歩み」開催
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の8日目。SKIPシティ映像ミュージアムでは、7年前からメディアリテラシー教育と映像にかかわる人材の育成を目的に、小中学生を対象とした映像制作体験学習を行っている。映像ミュージアムの体験・見学を含めると、これまでに12万1千人の生徒が体験したという。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010の8日目、実際にプログラムにかかわっている人々を招いてこの映像学習を紹介・検証するイベント「カメラクレヨン『映像学習の向こうに』 SKIPシティ映像学習の歩み」が開かれた。
映像学習では、SKIPシティ映像ミュージアムからボランティアのインストラクターを学校に派遣し、先生方と共に18時間の授業時間を使って映像制作を指導する。まずクラスが約10人ずつの班に分かれ、それぞれ1本、クラスで計3、4本のニュースを制作。そしてSKIPシティのスタジオ設備を使い、それらをキャスターが紹介するという形でニュース番組を収録する。ニュースの企画から取材準備、絵コンテ、撮影、オーディオ、編集まで、すべてが生徒たちの手で行われる。もちろんスタジオ収録の際のキャスター役や演出、進行、カメラ、スイッチボードなども生徒たちが手分けして担当。現在までに52校146クラスで映像学習が行われている。
イベントの第1部では、NHK青少年教育番組部ディレクターの宇治橋祐之氏と、映像学習の事前研修に参加した先生方、インストラクターの方々を招いたパネルディスカッションが行われた。「あくまでも子どもたちの自主性にまかせ、子どもたちが戸惑った時に初めてアドバイスする」というスタンスや、「それぞれの役割分担を決めて皆でやり遂げることの楽しさと大切さ」などが、具体的な例を挙げながら話し合われ、実際に授業で生徒たちが制作した作品も上映された。
第2部では、映像学習を体験した子どもたちのなかから集まった希望者90人が、7チームに分かれて制作した映像作品が上映された。7本の共通テーマは「拾った携帯」。青春ものあり、ファンタジーあり、ブルースクリーンを使った特撮ものあり、それぞれの作品に工夫がこらされていて見応えがある。ほぼ満員の客席も大いに沸いた。上映後には各チームの代表者がステージに上がり、撮影中に苦労した点などを語った。
途中挨拶に立った川口市の岡村幸四郎市長は、「21世紀はデジタル映像の世紀。川口市では、小中高と学校で一貫した映像教育を行っています。Dシネマ映画祭から世界に巣立っていった監督たちがいるように、ものづくりの町・川口から未来の山田洋次監督、黒澤明監督のような映像クリエイターを育成していきたい」と話した。