SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014

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【デイリーニュース】 vol.03 『短編①』 Q&A

『誘拐の午後 –Kidnap Tale–』『帰ろうYO!』『十人十色 世界は何色でできてるの?』

短編1
左から『十人十色 世界は何色でできてるの?』撮影の植原雄太さん、舘澤諒監督、『帰ろうYO!』MACHEE DEFさん、松本卓也監督、『誘拐の午後 –Kidnap Tale–』ミゾモト行彦さん、倉田健次監督

 

 7月19日(土)に開幕したSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014。二日目となる20日(日)午前は、国内コンペティションの短編部門にノミネートされた12本から、まず最初の3本『短編①』がベールを脱いだ。

 

 若手映像クリエイターの発掘・育成を目指して企画された同コンペは、2013~14年の間にデジタルフォーマットで作られた15分~30分の短編を対象に作品を公募。最終的にノミネートされた12本の中から一作品に最優秀作品賞、さらに二作品にも奨励賞が与えられる。上映後、3本の作品よりそれぞれの監督、主演俳優、キャメラマンらが登壇し、舞台挨拶と会場からのQ&Aに応じた。

 

 『誘拐の午後 -Kidnap Tale-』は短編ならではのトリッキーな構成かつひねりの効いた一本。もともと渋谷芸術祭2013の一企画として行われた「映画神社」内の短編映画祭のために用意したという本作を、脚本執筆から撮影まで約一週間で完成させたという倉田健次監督。「最初に考えていたラストだと、ショッキングな後味は残るが、何の救いもない終わり方になってしまう。15分の短編でもその先につながる何かを感じてもらえるように」とラストシーンに込めた思いを明かす。青年アキヒト役のミゾモト行彦さんも「倉田監督と一緒にやれて嬉しかった」と喜びを語った。

 

 『帰ろうYO!』はラップを用いて人間関係や世代間のギャップを乗り越えようとする意欲作。松本卓也監督は音楽への憧れと嫉妬、リスペクトを込めてラップを取り入れ、ベタな魅力と意外性の両方を意識して撮影に臨んだそう。テーマはずばり“感動”。しかし「直球すぎると恥ずかしいので、“キャンバスを汚しながら”自分なりの感動を目指した」とか。するとラッパーのリクを演じた現役ラッパーMACHEE DEFさんも「ラストシーンの撮影ではラッパー人生で初めて泣いた。恥ずかしかったが、カットがかかった後に、兄が『いい画、撮れたわ!』とニヤニヤしていた。あの顔は忘れない」と語る。実は松本監督とMACHEE DEFさんは本物の兄弟。実の家族だからこそのバイブスも見どころだ。

 

 『十人十色 世界は何色でできてるの?』は、色覚異常の障害を持つ少女が、恋と友情に揺れながら自分自身を受け入れていく鮮やかな青春映画。明るさや切なさなどすべての感情をピアノの音のみで表現した音楽も印象的だ。また、本編では少女の目から見た映像もすべてカラーで撮られている。その理由について場内の観客から質問が投げかけられると、舘澤諒監督と撮影の植原雄太さんは、「モノクロにするかどうかは現場でも散々悩んだが、彼女の見ているものは結局誰にもわからないので、それをみんなで想像しようという意味も込めてカラーを選んだ」と答えた。

 

 「本当に三者三様でビックリ」と舘澤監督が評したように、作り手自身のキャラクターも作風も多彩な顔ぶれとなった『短編①』。最後にMACHEE DEFさんがフリースタイルでラップを披露すると、呼びかけに応じて場内からも手拍子が上がり、ティーチインは華やかな雰囲気に包まれて幕を閉じた。

 

 『短編①』は、24日(木)14:00より映像ホールで上映する。次の機会にはお見逃しなく!

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