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【デイリーニュース】vol.15 「企画マーケット in SKIPシティ」
9人の監督たちが、5人のアドバイザーに挑む真剣勝負
「企画マーケット in SKIPシティ」開催される
現在、各地の映画祭で行われている「企画マーケット」。若手のクリエイターたちとプロデューサーや出資者を結びつけて企画の開発・製作を目指し、新しい映画産業を構築していくための試みである。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、創立時から若手映像クリエイターを応援する映画祭を目標として掲げてきた。11回目を迎えた今年は、志を形にすべく新しい試みとして「企画マーケット in SKIPシティ」を開催することになった。 本企画では、9人の監督の企画が採用され、5人のアドバイザーの前で各人の企画をプレゼンテーションする。映像業界関係者とのビジネスマッチング、そして企画の実現を目指す9人の監督たちは、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にノミネートされた経験者も多い。敏腕アドバイザーたちを前に監督たちはどんなプレゼンをするのだろうか。
<参加監督・企画名・テーマ>
・岡村裕太監督:『QUEST』 弱気な青年が悪魔に支配されたふるさとを救うべく7人の英雄を探す旅に出るというハイ・ファンタジー。
・マキタカズオミ監督:『ファントム・ジェニー』 ニューハーフのミウは手術で摘出した自分の睾丸を瓶に入れて持ち歩きネタにしているが、その睾丸を盗まれてしまう。
・熊谷まどか監督:『讃歌』 篠田節子の小説を映画化する企画。無名の女性ビオラ奏者の演奏に感動したテレビディレクターは彼女のドキュメンタリーを作るが、彼女の経歴は偽物だった。
・上原三由樹監督: 『骨牌(かるた) 遊び』 背中の皮膚が美しいカルタのようになっている女に魅了されてしまった大学生の物語。
・和島香太郎監督: 『グラン・マル』 余命わずかと宣告された青年は、家族一緒に死にたいと両親に本音を漏らす。やがて最後の家族旅行に出るのだが。
・完山京洪監督:『愛を繋ぐもの』 夫婦にとって愛の結晶が子どもなら、子どもができない夫婦にとっての愛の形とは何なのか。
・三宅伸行監督:『構成家族』 1930年代の神戸。ブラジルへの移民を望む人たちが集まる収容所。家族を失った人々は「家族」を構成し、ブラジルに渡ろうとする。
・八木景子監督:『マリア様はどこー!』 少子化や鬱、自殺など、日本社会特有の労働環境から生まれる現象は根本的解決することなく、放置されている。
・加瀬聡監督:『いつもあなたを応援してる』 埼玉の女子高でチア・リーディング部にはいった新入生が大会を目指して成長していく。
以上9人の監督の企画のプレゼンテーションを受ける5人のアドバイザーは、いずれも現場のプロフェッショナルたちだ。
勢ぞろいした5人のアドバイザーの皆さん。左から森重晃さん、中島央さん、尾崎弘之さん、松崎まことさん、土川勉さん
<アドバイザー>
・土川勉さん:株式会社角川大映スタジオ取締役/『沈まぬ太陽』などのプロデューサー
・松崎まことさん:『町山智浩の映画塾』などの放送作家
・尾崎弘之さん:東京工科大学教授/経済学者
・中島央さん:株式会社スーパーフィルムメーカー代表取締役/『シークレット・チルドレン』などの監督・脚本・プロデューサー
・森重晃さん:株式会社ステューディオスリー取締役/『さよなら渓谷』などのプロデューサー
会場右手に設けられたプレゼンター席についた監督たちはパソコンを操作しながら自らの企画を15分ほどでプレゼンテーションする。自己紹介から始まり、製作意図、テーマ、ストーリーから、予算、製作スケジュール、担当会社や俳優などまで、現在できる限りのプレゼンテーションを行う監督たち。それぞれに個性的なプレゼンが行われ、参加者もアドバイザーとともに聞き入っていた。
プレゼンが終わるとアドバイザーたちによる企画とプレゼンへの15分ほどの講評が始まる。講評といっても、その企画を映画化するために変更するといいところや企画に足りないところなどを鋭く突く実践的なものだ。監督たちも負けてはいない。必死で食い下がり、この企画の実現性を訴える。新人とはいえ日本だけではなく各国の映画祭を転戦したり、様々なプロジェクトを経験してきた人々だ。アドバイザーたちと丁々発止と意見を戦わせる。
一人の監督について30分程度の持ち時間とはいえ、13時半に始まったプレゼンテーションが全員終わり、名刺交換会がすんだのは18時を過ぎていた。この熱気にあふれた企画マーケットから新しい作品が生まれてくることを期待して待ちたいと思う。