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【デイリーニュース】vol.16 『恋に落ちた男』 ハン・ドンウク監督 Q&A
「恋愛に関する物語は移り変わりの激しいジャンルですが、トレンドに流されない“愛”の普遍性を描きたかった」
ハン・ドンウク監督
長編コンペティション部門出品作『恋に落ちた男』は、しがない借金取りの男が、一人の女性との出会いによって初めて人を愛することの喜びに触れる感動作。
高利貸しの借金取りをしているテイルは、一見乱暴な男に見えるが実は人情深く、純粋な子どものような一面を併せ持つ。ある日、昏睡状態に陥った男性の借金をその娘のホジュンに肩代わりさせたものの、彼女に一目惚れしてしまったテイルは、自分とのデートと引き換えに借金を帳消しにしてやると提案。最初はテイルを拒絶していたホジョンだが、次第に彼に好意を持つようになり……。
上映後には、『悪いやつら』(12)『新しき世界』(13)などの助監督を経て本作で長編監督デビューを飾ったハン・ドンウク監督がティーチインに応じた。
「恋に落ちる男女の設定は極端なものにしたかった。本来は出会うことのない二人の境遇だからこそ、劇的な物語が生まれるのだと思うのです」。
テイルを演じたのは『甘い人生』(05)『ユア・マイ・サンシャイン』(05)『黒い家』(07)などに出演し、『新しき世界』(14)で第34回青龍映画賞主演男優賞を受賞したファン・ジョンミン。ホジュン役には日韓合作テレビドラマ「フレンズ」(02)や、「あなたは星」(04)「がんばれ! クムスン」(05)「朱蒙」(06-07)など多数のテレビドラマに出演しているハン・へジンが起用された。主要な俳優のオーディションはせず、事前に監督自らが俳優と会ってお酒を酌み交わし、様々な話をしたという。
「ファン・ジョンミンとは助監督時代からの知り合いで、以前から濃厚なラブストーリーを一本撮りたいと話していました。恋愛に関する物語は移り変わりの激しいジャンルですが、そういったトレンドに流されない“愛”の普遍性を描こうとしました」。
客席からはストレートなラブストーリーにはまり、涙したとの感想もあがった。身近な題材として観客の心に響いたのだろう。
「映画制作において私が一番大事にしている事は“リアリティ”です。特に恋愛は誰でもするものだし、かつて誰もが経験した事ですよね」。
さらに、ラストシーンに込めた思いを聞かれると……?
「最後にもう一度、テイルを見たいと思った。 物語の中では様々な困難な状況に置かれた表情を見てきたが、最後にどんな姿をみせるのか。そこまでに積み上げたものを正面からではなく背中で語らせたいと思いました」。
韓国で今年2月に公開され200万人を動員した『恋に落ちた男』は、26日(土)にも17:30から多目的ホールで上映される。