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【デイリーニュース】vol.24 ~アニメDAY特別上映イベント~ TVアニメ 『ケロロ軍曹』 誕生の秘密
「SFのホームコメディ」というジャンルを打ち出し成功を収めた
サンライズ 内田健二代表取締役会長
25日(金)は、「アニメDAY」と称し、朝から『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』と、アニメーションコンペティション部門にノミネートされた14本が上映された。
今年から映画祭に新しく設けられた「アニメーションコンペティション部門」は、より多岐に渡る若手映像クリエイターの発掘と支援を目的としたもの。5分以上のデジタル作品であることを条件に公募した国内コンペとなっている。
この日のラストを飾る催しとして、テレビアニメ「機動戦士Zガンダム」などをプロデュースしてきたサンライズの内田健二代表取締役会長をゲストに迎え、特別上映イベント「TVアニメ 『ケロロ軍曹』 誕生の秘密」が開催された。アニメプロデューサーとして活躍してきた内田会長の体験から、アニメの歴史と未来までをも見通すトークをうかがった後、内田会長が手がけたTVアニメシリーズ「ケロロ軍曹」の中から選りすぐりの一本(第33話「ケロロ小隊 アニメで地球侵略 であります」)が上映された。
もともと実写映画の作り手を志していた内田会長は、アニメ制作会社「サンライズ」に入社したことから、後に「ガンダム」シリーズのプロデュースを務めることとなった。「機動戦士ガンダム」で知られる富野由悠季監督らとの出会いによって、「作品を監督の目指すレベルに到達させるために何をすべきかを考え抜き、鍛えられた」そうだ。アニメプロデューサーの仕事としては、①「作品の企画を立ち上げる」、②「製作資金を集める」、③「現場の制作進行を管理する」、④「製作資金を回収する」の4ポイントを挙げる。
また、「ケロロ軍曹」のアニメ化にあたっては、どちらかというとコアなファンに支持されていた原作をテレビというメディアに馴染ませるためにどうすればよいかを画策したという。その結果、より一般向けにアレンジすることを目指して「SFのホームコメディ」というジャンルを打ち出し、視聴率の上でも成功を収めた。
さらに、埼玉という地が数々のアニメの舞台となり、今やアニメの聖地として人気を集めている現状については、その立役者として春日部市を舞台にした「クレヨンしんちゃん」の存在を挙げつつ語った。「はっきりとした理由は今もわからない」と前置きしつつも、「自然が豊富で、ある程度の規模の町があり、その中で自分と家族や友人が地続きの世界で生活している実感を得られる場所という埼玉の特色が、アニメでドラマを語る背景に適しているのではないかと思います。都市として文化に対する包容力がある、というのも重要な理由の一つだと思います」。
この日、アニメーション部門のコンペ作品を鑑賞した内田会長は、「作り手自身が主体となって発信し、自分の表現を追求していく個人アニメは、外部に見せてビジネスを成立させることを目的とした商業アニメの世界とはまた違うフィールド。だからこそアニメというジャンルの一分野として独自の発展を遂げてほしい」と期待を示した。
なお、SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザの映像ミュージアムでは8月31日(日)まで、企画展「大ケロロ展 SKIPシティ侵略であります!」を開催している。