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【デイリーニュース】vol.27 クロージング・セレモニー(表彰式)開催
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014 コンペティション部門受賞結果発表!
最優秀作品賞は『約束のマッターホルン』
2014年の各部門受賞者、審査員、映画祭主催者による記念撮影
7月19日(土)から9日間にわたって開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014。今年のコンペティション部門には84の国と地域から727作品の応募があり、その中から選び抜かれた長編12作品、短編12作品、アニメーション14作品が上映された。そして最終日の27日(日)、クロージング・セレモニー(表彰式)が行われ、各賞の受賞作・受賞者・が発表された。
アニメーションコンペティション部門
最優秀作品賞
『夕化粧』 胡ゆぇんゆぇん監督
「2年位前に、修了制作として作った作品なので、2年ごしでこのような賞をいただけて、とても嬉しく思います。次回作も、もっといい作品を作れたらと思います。ありがとうございました」
胡ゆぇんゆぇん監督
奨励賞
『Airy Me』 久野遥子監督
『就活狂騒曲』 吉田まほ監督
奨励賞を受賞した久野遥子監督と吉田まほ監督はセレモニ―への出席が叶わず、それぞれの監督から届いた喜びのコメントが読み上げられた。
久野遥子監督 『Airy Me』
「この度は奨励賞をいただき、ありがとうございます。社会人になって、なかなか制作ができない日々ですが、この賞を糧に自分らしい作品とその制作時間を作れるよう精進いたします」
吉田まほ監督 『就活狂騒曲』
「名誉ある賞に選んでいただき、とても光栄です。次の作品も頑張ります」
アニメーションコンペティション部門の佐藤充審査委員長は、「この映画祭では、テレビやPCとは違う、4Kの素晴らしいスクリーンと5.1サラウンドという音響設備で作品が上映されることになります。そのなかでも『夕化粧』には、お婆さんが過去を振り返るストーリーを背景にした、素晴らしい映像感覚を見ることができました。アニメーション部門は今回新設されたばかりで、どの程度の作品が集まるかなどの不安もありましたが、来年以降もこのようなクオリティの高い作品が集まることを期待しています」と総評を述べた。
短編コンペティション部門
最優秀作品賞
『押し入れ女の幸福』 大橋隆行監督
「この作品は、『また明日』という言葉をいいなと思ってくださるといいな、と思って作りました。3年前に長編部門の最終審査まで残ってノミネートならず、ということがありまして、人の作品を見て、『いいなー』と思って、作り続けた3年間でした。本当に執念の塊です。その時に出会った太田いず帆という女優をもう一度撮りたかった。とことん執念の塊だった気がします。また面白い作品を作るので、お金をくれる方、待ってます。今度は長編部門で帰ってきたいです」
大橋隆行監督
奨励賞
『ネクタイと壁』 山本亜希監督
『帰ろうYO!』 松本卓也監督
山本亜希監督 『ネクタイと壁』
「この作品は、応募の時点で出来上がっていない部分もあり、完全版を見ていただいていないのがちょっと残念ですが、この映画祭で初めて上映されたので嬉しかったです。今回の作品はフランスで撮っていますが、もちろん日本で撮る機会があればぜひやりたいですし、長編にも挑戦したいです。日本に帰って来たら、長編のキャリアのない人は企画も全然受け入れてもらえないという話を聞くんですが、そんな中でも新人に面白いものを撮らせたいというプロデューサーの方がいましたら、声をかけて下さい」
山本亜希監督
松本卓也監督 『帰ろうYO!』
「I feel happy! 他の映画も拝見しましたが、このような大きな映画祭で、バジェットの大きな映画の多い中で、自分のお金で何とか作った映画がウケて、受賞できたのが嬉しいです。短編部門の中でもゼロがひとつかふたつ少ない予算ですが、それでも完成したのは、本当にスタッフの方々に協力していただき、出演者にも理解していただいて工夫して作ったおかげです。本当に感謝しています。今後も精進して、できるだけステップ・アップ、スキップ・アップしていきたいと思います」。司会者のリクエストに応え、松本監督が映画にちなんだラップで喜びを表す一幕も見られた。
松本卓也監督
桝井省志審査委員長は、まず、「この映画祭を長年支えてこられた川口市の岡村幸四郎前市長が、昨年末に急逝されました。若手育成にずっと尽力されてこられた方ですので、改めて感謝と哀悼の意を表したいと思います」とコメント。
コンペについては、「『押し入れ女の幸福』は、すごく面白いところに着目したという点がまず素晴らしい。映画の題材を見つけるのは本当に難しいことですが、これを見つけて映像化したということだけでも評価に値すると思います。つっこみどころも満載で、作品に関してみんなでいろいろ話ができる。そういう意味で、監督の将来性に期待して賞を授与しました。応募作には非常に幅があり、審査基準は悩みどころですが、今回は現在の完成度よりも、未熟であっても将来に期待できる可能性、作家性を感じさせる作品を評価しました。全ての作品が1位になる可能性がありました。短編はもっと自由であっていい。それぞれの作家の個性が際立つ作品を期待しています」と話した。
長編コンペティション部門
最優秀作品賞
『約束のマッターホルン』 ディーデリク・エビンゲ監督
ディーデリク・エビンゲ監督に代わり、スーツにビーチサンダルという、いでたちで受賞のあいさつに立ったのは、主演俳優のポーギー・フランセンさん。「サンダルですみません(笑)。最後の最後に最優秀作品賞をいただいて驚いています。俳優としてこんなにナーバスになったことはありません。監督もこの受賞をとても喜ぶと思います。この映画祭で他の方々の作品も見ましたが、『帰郷』(英題は“Withering”=枯れ果てる)には、私たちの映画に共通するものを感じました。植物と同じように、人間も水をやらなければ枯れてしまう。互いに支え合わなければ生きる意味もなくなってしまうのです。本来ここに立っているはずの監督のディーデリク、そしてスタッフに代わり、皆さんに感謝します」
主演俳優のポーギー・フランセンさん
監督賞&SKIPシティアワード
『螺旋銀河』 草野なつか監督
「初めて撮った長編でこのような賞をいただき光栄です。今回の映画祭では2回上映があり、私も2回とも会場で見ました。そして、観客の方の一人ひとりの人生の中の73分を、私の作品に費やしていただけたのは凄いことだと実感しました。私にできることは撮り続けていくことだと思うので、また次作、その次と続けていきたいです」。「監督賞もいただいて驚いています。初めての長編で、長編作品において監督がどうふるまえばいいか、手探りのことが多かったのですが、スタッフ、キャストがたくさんの選択肢を用意してくれ、私はそれを選ぶだけだった気がします。ラストのラジオドラマの部分は、自分がやりたかったことでもあるんですが、それをやりたいと言える状況を、脚本の高橋(知由さん)やその他のスタッフが作り、後押ししてくれたからこそこの作品が撮れたのだと思います。協力してくれた皆様に感謝します」
草野なつか監督
脚本賞
『彼の見つめる先に』 ダニエル・ヒベイロ脚本・監督
「アリガトウ。まず映画祭に招いていただいてありがとうございます。この作品を日本の観客の皆さんと分かち合う機会や、初めて日本に来たのですが、日本文化に触れる機会を与えて下さって感謝しています。ぜひまた日本に戻ってきたいと思います」
ダニエル・ヒベイロ脚本・監督
長編コンペティション部門の新藤次郎審査委員長は、「『約束のマッターホルン』は、頑なな主人公が自由で奇妙な人との出会いによって変わっていくという、重くなりがちな話を、奇妙な人物と奇妙な展開で軽妙に見せていきます。それは表現者として最上のことですし、グランプリに相応しいと思います。長編を作るということは、短編を作るのとは全然違う体力や財力、覚悟が必要になります。それが初監督作であれば、その先の映画人生が決まってしまうかもしれない。自分の作った映画を人に見せるというのはそういうことです。今回上映された12本の作品はある完成度を持っていますし、受賞の有無にかかわらず、それぞれ自信を持っていいと思います。次の作品に期待しています」とコンペティションを総括した。