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【デイリーニュース】vol.11 『ラブ・ミー』 オリーナ・ヤーショバ プロデューサー Q&A

トルコとウクライナの現実を反映したラブ・ストーリー


プロデューサーのオリーナ・ヤーショバさん

 

 長編コンペティション部門出品作『ラブ・ミー』は、ウクライナとトルコ初の合作映画。両国の文化の違いや社会情勢を背景にした、ウクライナ女性とトルコ男性の切ないラブ・ストーリーだ。

 

  親の決めた気の進まない相手と結婚することになっているトルコ人のジェマルは、親戚に連れられて、独身最後にハメをはずすためのウクライナ旅行に出かける。ジュマルはクラブで出会った美女サーシャに誘われ、彼女の高級アパートを訪れるが、サーシャにはある思惑があった……。

 

上映後のQ&Aには本作のプロデューサー、オリーナ・ヤーショバさんが登壇し、観客からの熱心な質問に答えた。

 

 まず、ほとんど話したこともない親の決めた相手との結婚は、現代のトルコでどの程度あるのだろうか。

 

 「イスタンブールのような都会の、モダンな社会ではあまりありませんが、アナトリアや地方の村などの保守的な家庭では今も多いです。また、男性がウクライナにセックスツアーに行くのも一般的に行われていることです。保守的で信心深い人たちが、国外ではハメを外すという矛盾が存在するのです。この作品はラブ・ストーリーですが、こうした現実や公務員、警察の腐敗など背景をリアルに描いています」。

 

 一方のサーシャが高級アパートに住んでいるのは、彼女がモスクワから時々訪れる裕福な既婚男性の愛人であり、生活の面倒を見てもらっているためだ。

 

 「新興成金が手に入れたがるものは高級車、高級アパート、そして美しい女性。彼女の設定にはウクライナの経済状況も反映されていて、母や祖母を養わなければならないサーシャに、他の選択肢はありません。彼女は、ロシア人の彼がいつか家庭を捨てて自分のもとに来てくれることを願っている。あの年代に特有のロストジェネレーション、自分からは何もせずにシンデレラ・ストーリーを待っているタイプです。この作品が描いているのは、恋愛として成立することが難しい不可能な愛。サーシャはまだ自身が変わる準備ができていませんが、ジュマルとの出会いは、二人の人生に変化をもたらすきっかけとなるのです」。

 

 共同監督のマリナ・エル・ゴルバチとメフメト・バハドゥル・エルは、実はサーシャとジュマルと同じく、ウクライナとトルコ出身のご夫婦。

 

「脚本も二人の共同で、お互いに関わりのあるストーリーを築きあげていきました。脚本執筆や演出する上でさまざまな決定が必要でしたが、最終決定権はマリナの方にありました(笑)」

 

 サーシャを演じたヴィクトリア・スペスィヴセヴァの美しさも必見の『ラブ・ミー』は、24日(木)にも11:00から多目的ホールで上映される。


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