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【デイリーニュース】vol.12 『アニメーション②』 Q&A
身近なテーマや懐かしい風景を凝縮させた7本が登場
『DE_RIRIA_SUBASUTAIMU』『猟師と聖』『就活狂想曲』『かまくら』『あきちあそび』『コーポにちにち草のくらし』『ハコオトコ』
左から『かまくら』の水尻自子監督、『就活狂想曲』の吉田まほ監督、『ハコオトコ』の金子修監督
今年から新設されたアニメーションコンペティション部門。第二弾『アニメーション②』では、『DE_RIRIA_SUBASUTAIMU』『猟師と聖』『就活狂想曲』『かまくら』『あきちあそび』『コーポにちにち草のくらし』『ハコオトコ』の7本を一挙上映。5分から13分という短い時間の中に、監督たちはそれぞれの世界観を様々な技法で作り上げている。
上映後のQ&Aには、『かまくら』の水尻自子監督、『就活狂想曲』の吉田まほ監督、『ハコオトコ』の金子修監督が登場した。
白と抑えた色調の限られた色で描かれ、セリフも説明もなくイメージで成り立っている実験的な作品『かまくら』。その制作動機を、「物語性はなく、感触や感覚の連鎖で展開していくという語り方でアニメーションを作りたくて」と水尻監督。感覚をテーマにした作品はニ作目で、初めてペンタブレット(コンピュータでペンと紙を再現した入力装置)を使って描いてみたそうだ。「物語性はないので、意味とか勘ぐらず、感覚で見ていただければと思います。いつもは紙とシャープペンシルを使うのですが、質感などがデジタルでどのくらいできるのか試してみたかったんです」。青森生まれの監督が子どもの頃に見ていた景色、雪に覆われた裏の田んぼで作ったかまくらなどを思い出しながらイメージを紡いで行ったという作品。唐突に登場するぶら下がった輪っかは、「ドーナツです。真ん中の穴に入るボールはたこ焼きなんです……」。不思議な魅力を持つ作品である。
就活に悩む女子大生を描く『就活狂想曲』。なんとなくヒロインに監督を重ねてしまうが、「自画像ではないけれど、似てるって言われますね。描いているうちに似ちゃうのかな(笑)」。就活の時期になって突然変身していく友人たちに焦り、巻き込まれるように就活を始める女子大生を、シニカルにユーモラスにそしてパワフルに描いていく。「今回一番考えたのは普段の格好と就活モードに入った時の違いをどう出すか、でした。私も就活したので、体験半分、人から聞いた話が半分、という感じです。就活は大変だったけれど日本らしさというものを感じましたね。今は面白かったと思えるけれど、その最中はいやでした。多分他の人も、変だなとか、いやだなって思っていても、やっているんだろうなと思います」。すでにYouTubeなどで就活のリアルと話題沸騰中の作品である。
観客席の子どもから一番面白かったと言わしめた作品『ハコオトコ』。デジタルで描かれたオーソドックスな2Dアニメーション。「アニメを作り始めた時からデジタルでした。アナログの経験はないです。今回も、音楽だけは人に頼みましたが、後は全部一人でやっています」と金子監督。引きこもり青年の、全てが面倒臭く、なににも関わりたくないという感じがリアルに描かれているが、「この主人公と僕は一緒でしたね。この作品は4年前から作り始めたんですが、当時の僕は引きこもってて、ほとんど人に会わない生活をしてました。これ見てると思い出して嫌になります(笑)」。
三人三様の方法と世界観、そして人生観(?)がうかがえる。映画館で作品を拝見できる日も近いのではないかとさえ思わせる。
『アニメーション②』は、25日(金)にも17:00から映像ホールで上映される。