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【デイリーニュース】 vol.01 第13回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016開幕!
世界の才能がこのSKIPシティで花開くことを心待ちに!
オープニング・セレモニーに参加した長編、短編、アニメーションの各コンペ部門の監督と審査員
次代を担うクリエイターを発掘し、映像産業の発展に寄与することを目指して2004年にスタートしたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭。13回目を迎える今年は、7月16日(土)に開幕した。今回は過去最多の88の国と地域から919作品の応募があり、その中から選ばれた長編部門(国際コンペティション)、短編部門(国内コンペティション)、アニメーション部門(国内コンペティション)各12本ずつのノミネート先品が上映される。
オープニング上映に先だって行われたオープニング・セレモニーでは、まず映画祭実行委員会会長の上田清司埼玉県知事が挨拶した。「13年目を迎えるこの映画祭から、これまでに多くの若手の監督が飛び出し、国際的にも素晴らしい成果をあげてきました。世界の才能がこのSKIPシティで花開くことを心待ちにしています」。
実行委員会副会長でもある地元・川口市の奥ノ木信夫市長は、「短編部門に川口市民賞を設定しているほか、開催期間中は地元のさまざまな協力を得て盆踊りの開催やカフェの出店をするなど、市として大いに映画祭を盛り上げていきたい」と抱負を語った。
八木信忠映画祭総合プロデューサーは、「この土地は1937年、日本放送協会の電波を送るアンテナが建てられたところです。その跡地に建てられたのが、映像関連産業の発展と集積、映像クリエイターの輩出を目的としたSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザです。本映画祭もその一環で、長編部門の応募資格は長編映画制作本数が4本までの監督となっています。また、オープニング作品も昨年の『鉄の子』に続き、若手の育成事業の一環として埼玉県とSKIPシティがバックアップした『話す犬を、放す』を上映します」と説明。
セレモニーの最後に、今年から新たに就任した土川勉映画祭ディレクターが、映画祭上映作品とゲストの皆さん、各コンペティション部門の審査員の皆さんを紹介。壇上にゲストの皆さんが映画祭マスコットのデジたるくんと共に勢ぞろいして、9日間にわたる映画祭が華やかにスタートした。
監督自らの体験をもとに描かれたオープニング作品『話す犬を、放す』
左から熊谷まどか監督、つみきみほ、田島令子、木乃江祐希
オープニング作品は、2013年の本映画祭短編部門に『世の中はざらざらしている』がノミネートされた熊谷まどか監督の初長編作品『話す犬を、放す』。売れない女優・レイコ(つみきみほ)のもとに、昔の仲間の紹介で映画出演の話が舞い込む。しかし同じ頃、母・ユキエ(田島令子)がレビー小体型認知症を発症し、母を長時間ひとりきりにして仕事に行くわけにいかなくなる……。
上映に先立ち、熊谷監督、出演のつみきみほ、田島令子、木乃江祐希が舞台挨拶を行った。自身の体験をもとに脚本を書いたという熊谷監督は、「私の母がレビー小体型認知症と診断されたことが元になっています。認知症について調べて行くうちに、世間一般で思われている認知症患者の姿はかなり限られていると思いました。いろいろなことがあるんだ、と感じた経験をもとに書いた話です。ただ、私も母も大阪のオバチャンですので、つみきさんや田島さんのような可愛い親子では決してありません(笑)」。
つみきは、「私は10代からお仕事をしてきましたが、寄り道もたくさんしてきたので、レイコが売れない女優であることや、器用に色々なことを乗り越えられない部分には共感できましたし、たくましいところも似ているなと思いました。この映画は認知症のお話ですが、深刻になるより明るく、ということを心がけました」。
監督が「つみきさんと自然と母娘の雰囲気になった」という田島は、「最初は戸惑いましたが、私の母も認知症ですし、明日は我が身です(笑)。基本はコメディだとうかがったので、分からないことは監督にお聞きして、監督に委ねて演じました」と話した。
木乃江は「子どもを抱いて映画も撮るし、女子力も高い監督の役なので、何でもやるパワーのある役にしたいと事前にお話させていただきました」という。一見おっとりしているように見えるが、「木乃江さん自身、芝居も頑張り、劇団も立ち上げ……とパワフルな方なので、そういう面が出たんだと思います」と監督は分析した。
本映画祭から生まれた『話す犬を、放す』は、映画祭で上映された後、劇場で一般公開されることが決定している。