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【デイリーニュース】 vol.12 『いたくても いたくても』 堀江貴大監督、嶺豪一、澁谷麻美、吉家翔琉、礒部泰宏 Q&A
恋愛とプロレスを軸に仕事と夢と人生を独特の語り口で描く
左から『いたくても いたくても』堀江貴大監督、出演の嶺豪一、澁谷麻美、吉家翔琉、芹澤興人、礒部泰宏
通販会社で働く星野は、同僚の葵とひそかに交際中。社長が「社員同士の絆を取り戻そう!」という理由のもとにプロレス同好会を立ち上げて、葵に好意を抱く同僚・戸田と共に看板レスラーにされてしまうが……。
近年、注目すべき新鋭監督を続々輩出している東京藝術大学大学院映像研究科出身の堀江貴大監督が贈る、青春恋愛プロレス映画『いたくても いたくても』。7月18日(月・祝)映像ホールでの上映後にQ&Aが行われた。登壇したのは堀江監督、主人公の星野を演じた嶺豪一、葵役の澁谷麻美、ライバル(?)戸田役の吉家翔琉、実況担当役の芹澤興人、同僚・吉田役の礒部泰宏の6名。
プロレスを題材に選んだ理由を、「大学時代の友人たちから影響を受けて」と堀江監督は語る。
「僕自身はプロレスに興味はなかったのですが、ガチでやるプロレスから、ネタでやるものまで、なぜか友人にプロレス好きが多かったのです。それで今回扱ってみたのですが、描き切れなかった要素がまだまだあって、そのあたりは新作の短編『はなくじらちち』(16)に盛り込んでいます」
『はなくじらちち』は、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」の1本として制作され、そこでは女子プロレスラーが出てくるという。
最近では珍しいスタンダードサイズで撮影したのは何故か? という質問に、「撮影監督の意見を採り入れた」と監督は答える。
「中国人の女性カメラマン、謝君謙(シャー・クンケン)さんという方なのですが、一緒にロケハンをしている時に『日本の家屋をきれいに撮りたい』とスタンダードサイズを提案されたんです。それも尤もだな、と思いまして」
主演の嶺豪一は映画監督の顔も持ち、監督兼主演作『故郷の詩』(12)で、ぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞を受賞している。
「空手をやっていたんですが、プロレスに挑戦するのは初めてでしたので、肉体改造に苦労しました。練習自体は面白かったのですが、筋肉がなかなかついてくれなくてプロテインを飲んだりしましたね」
堀江監督が以前に撮った作品『電波に生きる(オムニバス映画『リスナー』内の1本)』(15)のオーディションに参加して、互いに意気投合し、本作で再び仕事を共にしたとのこと。
「実は当時は、嶺さんが映画監督でもあるとは知らなかったんです。俳優として、とても存在感があったので、ぜひまた一緒に映画を作りたいと思っていました」と堀江監督。
澁谷は葵という女性を、「今日、作品を再見して改めて思ったのですが……きつい女性ですよね(笑)」と、自らの演じた役を冷静に分析。
「葵は、相手のことをちゃんと思っているんだけど、接し方がきつくなってしまう女の子なんです。そういう部分に私自身も、『こういうことってあるなあ』と共感しつつ演じました」
嶺と共にプロレスの特訓を積んだ吉家は、「冬、横浜みなとみらい21の辺りで、よく2人で練習をしました。練習が終わってふと夜空を見上げると、観覧車がきれいで……『僕たち、何やってんだろうな……』と思ったりしたことも今はいい思い出です」と会場を笑わせてくれた。
おかしみ溢れるプロレス実況を展開し、強烈な印象を刻み付けた芹澤は、「上手くなりすぎないように、微妙に下手な感じの実況になっているので、それでかえって味が出せているのかもしれません」と和やかに語った。
個性的な社員たちの中で堅実な雰囲気を放っていた礒部は、「衣装合わせの時に、監督に『メガネをかけてみてもいいですか?』と尋ねたんです。すると、すごく喜んでくださって、俳優の意見を大切にしてくれる方なんだなあ、と思いました」と舞台裏のエピソードを披露してくれた。
続く、「監督はどんな人?」という質問には、「変わった設定を面白く説得力をもって描ける人」(嶺)、「すごく人間好きな人」(澁谷)、「普遍的な感情を大切にしている方」(吉家)、「マイペースで頑固。でもちゃんと見ていてくれる」(芹澤)と俳優陣がそれぞれの言葉で印象を語った。
恋愛とプロレスを軸に、仕事と夢と人生を独特の語り口で描いた『いたくても いたくても』は次回、7月22日(金)14時30分より多目的ホールにて再びQ&A付きで上映される。