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【デイリーニュース】 vol.15 『見栄を張る』 藤村明世監督、似鳥美貴、倉沢涼央(旧:齋藤雅弘) Q&A

人は誰でも、周囲に対して何らかの“見栄”を張る。

左から『見栄を張る』藤村明世監督、似鳥美貴、倉沢涼央(旧:齋藤雅弘)

 

シネアスト・オーガニゼーション大阪の助成で製作され、今年の3月に開催された大阪アジアン映画祭でワールド・プレミア、本映画祭がコンペティションとしては初上映となった『見栄を張る』。監督の藤村明世は大学在学中に撮った短編『彼は月へ行った』(14)がぴあフィルムフェスティバルに入選するなど高い評価を受け、卒業後は商業映画の助監督などを経験。満を持して本作で長編デビューとなった。

 

周囲には“女優”と見栄を張りながらも、鳴かず飛ばず、女優を続けるか否か迷いながら暮らす絵梨子は、姉の葬式に出るために帰郷。姉が、葬儀で参列者の涙を誘う“泣き屋”をして幼い息子の和馬を育てていたことを知り……。

 

上映後のQ&Aには藤村明世監督、絵梨子の姉が勤めた“泣き屋”の社長である女性・佐久間を演じた似鳥美貴、絵梨子のダメな恋人役を演じた倉沢涼央(旧:齋藤雅弘)が登壇した。

 

「去年の今頃はまだ私の頭の中にしかなかったこの作品が、大勢のキャスト、スタッフ、大阪や和歌山のみなさんのおかげで映画となり、またここで大勢の方に見ていただけて、私は本当に幸せです」と訥々とうれしさを語る藤村監督。

 

美しい声が印象的な似鳥は舞台がメインの女優で、本作を助成したシネアスト・オーガニゼーション大阪の“俳優特待生”として監督に紹介された。「若い監督がいい映画を撮ろうという気持ちに賛同しました」とノーギャラで出演! 現在は大阪在住ながら、4年前までは埼玉県内、熊谷に住んでいたそうで、「懐かしい埼玉に凱旋できて感無量です」と笑顔を見せた。

 

また、倉沢はオーディションの前日、友人が藤村監督にLINEで「出演したがってるやつがいる」と倉沢を紹介、オーディションに参加した。自身が選ばれた理由を「聞きたい!」と無邪気に言ったものの、監督の「実際は誠実な方なんですけど、クズをやらせたらすごくハマって、クズな一面もあるのかなと思って……」という答えにがっくり。「そういうのばっかり受かるんですよね」と嘆いて観客を笑わせた。

 

その後も客席からさまざまな質問が飛び出した。ヒロインの再生の物語なのになぜ“泣き屋”という職業を描いたのか、という質問には藤村監督が熱い思いを返答。

 

「高校生の時にワイドショーで、サクラとして大げさに泣く職業として紹介されているのを見て、すごくショッキングでした。でも調べていくうちに、古来は人の魂を送るための“泣き屋”であったと知り、気になっていたんです。その後、大学を卒業して商業映画の助監督をするようになり、80日間連続勤務などで、映画監督になりたいのに映画が遠ざかっていくのをすごく悔しく思っていました。なんか違う、映画を撮ってやる! という思いをヒロインの絵梨子に投影し、再生、やりなおすぞ! というテーマと、気になっていた“泣き屋”をあわせて映画にしました」

 

俳優の2人はそろって和馬役の岡田篤哉にメロメロだったことを告白。似鳥が「あっちゃん(岡田篤哉)がおいしそうに何か食べてるのを見ていると、本当に幸せな気持ちになって」と言えば、倉沢も「“彼氏になってもええで”なんて言われると、“あっちゃん、かっこいい!”ってなりました(笑)」と和やかな現場の様子を伝えた。

 

最後に藤村監督が「私と同世代の夢がない、夢がわからなくなってしまったという方にも見ていただきたいと思います。この後、7月23日にも上映があるので、ぜひお友だちにも薦めてみてください」と挨拶した。

 

見栄を張る』は次回、7月23日(土)の17時30分から多目的ホールで上映。上映後に、ゲストによるQ&Aも行われる。


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