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【デイリーニュース】 vol.20 産学官連携プロジェクト「映画祭アニメーションCM メイキングセミナー」
映画祭アニメーションCMメイキングセミナー。未来の映像作家の競作アニメCMの舞台裏紹介
映画祭のCMを制作した日本工学院専門学校の学生と同校のCG映像学科顧問を務める映像作家の原田一平先生とのパネル・ディスカッション模様
23日午後、彩の国ビジュアルプラザ1階HDスタジオで産学官連携プロジェクト「映画祭アニメーションCM メイキングセミナー」が行われた。
今回の映画祭では、次世代の映像産業を担う人材を育成しようと、日本工学院専門学校の学生に映画祭のCMの製作を依頼した。セミナーではCM の上映と製作の舞台裏が紹介された。
このプロジェクトは今年3月11日、日本工学院専門学校CG映像科顧問で映像作家の原田一平氏が同校のCG映像科とマンガ・アニメーション科の生徒に「映画祭に行ってみたくなる――。それを絵にしたら、どうなるかを考えて、CMを作って欲しい」と投げかけてスタートした。学生たちは実質3週間というタイトなスケジュールの中、手描きアニメとCGアニメの2つの作品を完成させた。
冒頭では2つのチームが製作したCMの15秒バージョンと30秒バージョンが上映された。
手描きアニメーションのCMを制作した嘉藤沙季監督が制作過程をプレゼンテーションする(右)
手描きアニメーション版は、少し落ち込んでいる女の子が映画祭会場の最寄り駅であるJR川口駅前で映画祭のチラシを受け取ると、たちまち映画の世界に落ちていき、宇宙船のコックピットに座ったり、森の中でモンスターと出会ったり、草原で王子様とのダンス……とめくるめく映画体験を味わい、元気をもらうというストーリー。
制作したのはマンガ・アニメーション科の嘉藤沙季さんを中心とする総勢30人のチーム。当初、60秒の絵コンテを作り、打ち合わせを重ねながら、30秒にまとめていったという。嘉藤さんは「制作期間がめちゃめちゃ短く、大変でした。一番きつかったのは色指定。時間がなかったので、出来上がったものから、色をつけていったのですが、各人が作業した色が合っていないこともあり、やり直したこともありました」と振り返る。
声優の生徒、プロの音響スタッフとの本格的なレコーディングは初体験だったそうで、「普段はできない体験ができた。また、あの席(スタジオのディレクター席)に座ってみたいと思った。関わったみんなが勉強になったと思う。また、これくらいの作品が作れるのだという自信にもなった」と話した。
一方、CGアニメーション版は、SKIPシティが舞台。若い女性が階段で映画祭キャラクターの「デジたるくん」が楽しそうに踊っている姿を見つける。すると、デジたるくんの仲間たちも会場内に多数現れ、女の子がその様子をスマートフォンで撮影するという内容。400体のデジたるくんが動き出すのが見どころだ。
こちらはCG映像科の山田涼さん以下5人の学生で製作。「スマホゲームをイメージした。ゆるキャラの『デジたるくん』を使うことで、“気になる、行ってみたくなる映画祭”をアピールしたかった。10~20代をターゲットと考えたので、若い女の子を起用して、感情移入してもらおうと思った」と意図を話した。「デジたるくん」は柔らかい雰囲気でかわいらしさを表現。3人のアニメーターが、400体のキャラクターそれぞれに違った動きをつけたという。
原田氏は「クライアントからの依頼があって、作品を作るというのは生徒たちにとって初体験。普段は使えないようなプロの設備の中で作業できたのも、貴重な体験だったと思い。実質3週間で作るのは大変だったと思うが、よく作ってくれた。これを機に羽ばたいて欲しい」と、映像作家の卵たちの未来に期待を込めた。
なお、このCM の30秒バージョンは映画祭のYouTubeチャンネルで見ることができる。
総勢30名のチームとCGアニメーション版のCMを制作した山田涼監督(右)