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【デイリーニュース】 vol.17 『ナンシー』 ミシェル・キャメロン プロデューサー Q&A

「脚本からすべてが始まりました」女性映画人が磨き上げたインディペンデント映画

ナンシー』のミシェル・キャメロン プロデューサー

 

三連休の最終日とあってイベントも盛りだくさんな映画祭4日目。国際コンペティション8本目の作品として映像ホールで上映された『ナンシー』は、今年のコンペティション唯一のアメリカ作品。ジョン・レグイザモ、スティーヴ・ブシェミなど、アメリカ映画ファンにはなじみのある俳優も出演する作品である。

 

病気の母親の介護をしながら暮らしているナンシー。コミュケーションが苦手で友だちもおらずネットに依存、派遣の仕事先でも空気のような存在の彼女は、架空の話を作り上げてブログを書いて人の気を引くことしか出来なかった。ある朝、母親が脳梗塞で亡くなり、ひとりぼっちになったナンシーは、30年前に5歳で行方不明になった娘を探し続けてきた夫婦のインタビューをテレビで見る。そこに映し出された35歳になった娘の予想似顔絵はナンシーにそっくりだった。ナンシーは「自分はあなた方の娘かもしれない」と夫妻に申し出る……。

 

上映後、Q&Aにはプロデューサーのミシェル・キャメロンが登壇。

まずは、インディペンデントながら著名なキャストが出演するこの企画が、映画になるまでの道のりを聞かせてください、という質問から始まった。

「すべては監督クリスティーナ・チョウが描いた脚本から始まりました。自分を大きく見せようとして嘘をついてしまう主人公、というのは監督の経験から生まれたキャラクターです。 監督が大学時代に創作文章講座を受講していて、その教授に影響を受け、尊敬もしていたのに、教授が言っていた、賞をいくつも受賞しているとか、出版された本が何冊もあるとか、経歴や実績、それらがすべて噓だったんです。監督はショックを受けたようですが、それが今回の脚本のモチーフになったわけですね。監督はサンダンスのラボにも参加し、脚本をブラッシュアップしていったのですが、その間に主演女優のアンドレア・ライズボローが脚本を読んで大変気に入って、プロデューサーに名乗りを上げ、いろいろな人にこの脚本を勧めてくれたのです」

 

アンドレア・ライズボローは、公開中の『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』で、主役の女性テニス・チャンピオン、キング夫人の恋人を演じ、間もなく公開の『スターリンの葬送狂騒曲』ではスターリンの娘を演じるなど、印象的な活躍が目立つ中堅女優である。

「アンドレアが直接声をかけてくれたおかげで、スティーヴ・ブシェミ、ジョン・レグイザモなどのスターが参加してくれることになりましたが、なんといっても大きかったのはバーバラ・ブロッコリ(『007』シリーズのプロデューサー)がエグゼクティブ・プロデューサーになってくれたことでした。 アメリカではまずスター・バリューで出資が決まるのですが、アンドレア、ブシェミとスターが揃ってもなかなか出資は集まりませんでした。けれど、ブロッコリの参加で、それならと出資がスムーズに動き始めたのです。」

 

バーバラはまさに”フェアリー・マザー(シンデレラを変身させるおかあさん妖精)”、救世主だった、と語る。

「それでもあらゆるインディペンデントの出資プロジェクトに応募しまくりましたよ。 私にとっても今までで一番低予算の作品ですし、超超超低予算なんですが、ここまでこぎつけるのに4年、もっとかしら、かかっています。けれどその低予算ぶりが画面に表れていないのは、スタッフやキャストの才能の力です。みんなこの脚本に魅かれて集まり、この脚本のビジョンやクリエイティヴィティに賭けてくれました。みんな、役者として素晴らしいだけでなく、人間として素晴らしい方々が参加してくれたのです。」

 

エンドクレジットに、アメリカのインディペンデント界で著名なショーン・ベイカー監督(『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』)などの名前があることについて会場から質問があがった。

「インディペンデント映画の仲間たちは、みな同じ苦労を知っています。ですから、様々な機会に支え合います。監督の映画学校の同級生やサンダンスの編集ラボの仲間など、応援をしてもらった人たちをスペシャル・サンクスのクレジットに載せることで、互いにサポートし合っていることをアピールするのです。ハリウッドの作品に比べると、インディの作品は一般の観客が知りえないこととか、見えない部分に光を当てることができると思います。『ナンシー』で監督が描きたかったことの一つが格差の問題です。かつて郊外で暮らすことはアメリカンドリームの一つでしたが、現在、郊外に暮す人々の中に貧困が蔓延しています。ナンシーはそこから脱出して中流の暮らしに入りたいと夢見ているんですね。そんな社会的な現実があって、それを描くことが一つのトレンドになっているのは確かだと思います。けれどインディの面白さはその描き方に多様性があるところだと思います」

 

監督、プロデューサー、主役が女性であるだけでなく、撮影監督も美術監督も女性である。ナンシーが行方不明の娘かもしれないと名乗り、その両親の家に向かうところで、それまでスタンダードサイズだった画面がワイドサイズに変化するのは撮影監督のアイデアだったのだとか。女性映画人が活躍するにはまだまだ障害が多いと言われるアメリカ映画界で、女性同士が協力し合い、アイデアを実現させ、作品を磨き上げていった。

 

こうやってアジアン・プレミアを迎えた『ナンシー』は、7月18日(水)10時30分から多目的ホール、19日(木)18時30分からMOVIX川口で上映される。18日の回には上映後にQ&Aも行われ、ミシェル・キャメロン プロデューサーが再登壇する予定。お見逃しなきよう。


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