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【デイリーニュース】 vol.07 セミナー:「VR映画の未来 ―映画としてVRは生き残れるか?―」上田慎一郎監督、田口清隆監督
「世界初」の試み。VR映画最前線の監督たちが考えていることとは?
(左から)上田慎一郎監督、田口清隆監督
VR映画『ブルーサーマルVR -はじまりの空-』(上田慎一郎監督)と『ウルトラマンゼロVR 大都会の戦慄 エレキング対ゼロ』(田口清隆監督)の上映(上映情報はこちら)に合わせて開催されたセミナーイベント「VR映画の未来―映画としてVRは生き残れるか?―」で、上田監督と田口監督が登壇した。
『ブルーサーマル』(12分)は大学の航空部の青春群像を描いた人気漫画「ブルーサーマル-青凪大学体育会航空部-」を、『カメラを止めるな!』が大ヒット中の新鋭・上田監督が実写化。埼玉県とSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザが製作した。
『ウルトラマンゼロ』(6分)は東京都港区某所のオフィスビルでの会議中、突如、宇宙怪獣エレキングが出現。命からがら非常口の扉を開けると、そこでは巨大怪獣とウルトラマンゼロのバトルが繰り広げられていた……という内容。2作は今年のカンヌ映画祭のVRシアターで上映され、話題になった。
カンヌに初めて参加した上田監督は「まさか初カンヌがVRとは思っていなかったです。(会場は)30〜40人が座れるようになっていましたが、ほかの国の作品では7、8人だったので、お客さんが来るのかなと思ったら、満席になりました。カフェでお茶をしていたら、『映画を観たよ、おごるよ』って言われました」と報告すると、田口監督は「上映されるのは知っていたけど、声がかからなかった。オレも行きたかったな」と羨ましげ。
上田監督は、本作のオファーがあるまで、VR作品は観たことがなかったそうで、初めて観て面白いと思った作品が『ウルトラマンゼロ』だったという。「ネットカフェで観られることを知って観に行きました。店員の対応も慣れていない感じでした。オープン席で観たのは失敗しました。絶対、個室で観てください」と笑う。
一方、田口監督は事前にVRを観ていたそうで「最初、自主製作で特撮のVRをやろうと思っていた。特撮ミニチュアでやっている怪獣のVR映画は世界でも初めてだと思う」といい、『ブルーサーマル』については「ドラマとして真面目に撮っているVRは初めて観ました」と話した。
視界360度、没入感が魅力のVR作品だが、観客にVR酔いをさせないように気をつけたという田口監督。「VRゲームには未来があると思う。自分の意思で進んでいくから、酔わない。『スター・ウォーズ』のVRゲームは、振り返るとR2-D2がいたりして、楽しいんです。ホラーも向いていると思いました」と話した。
映画の可能性については、田口監督は「映画は客観的に外から観るもので、VRは物語の一部になるという違いはあります。また、(360度視界があるので撮影は)密室でないと難しいところがあって、作る上で制限があります。VRを観ていることを忘れさせることまでできれば、すごい。探偵が、360度の視界の中で、手がかりを見つけて、謎解きをするみたいなものは面白いかもしれない」。上田監督も、「3つの物語を同時並行で描くみたいな話は面白いかもしれない」とアイデアを披露した。
VR上映は15日(日)も開催。上映回は①13:00~ ②13:30~ ③14:00~ ④14:30~ ⑤15:00~ ⑥15:30~ ⑦16:00~ ⑧16:30〜。午前11時から「VR上映入場整理券」を SKIPシティHDスタジオ前で配布する。入場無料、定員各回8名。