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【デイリーニュース】 vol.18 15周年特別企画「飛翔する監督たち from SAITAMA」入江悠監督Q&A 『22年目の告白―私が殺人犯です―』
埼玉出身の大ヒットクライム・サスペンスの監督が、地元との関わりを語る
『22年目の告白―私が殺人犯です―』の入江悠監督
映画界の第一線で活躍する埼玉出身の映画監督にスポットを当てた15周年特別企画「飛翔する監督たち from SAITAMA」では、『22年目の告白―私が殺人犯です―』(17)が上映され、深谷市出身の入江悠監督が登壇した。
埼玉の片田舎でくすぶるラッパーたちの青春を描いた『SR サイタマノラッパー』(08)で第19回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門グランプリ、第50回日本映画監督協会新人賞を受賞した入江監督。
3歳〜19歳まで過ごした故郷・深谷については、「10代の頃は、この町から出なきゃとか、没個性の町だなと思っていました。それが、ようやく相対化して見ることができたのが『サイタマノラッパー』です。高校までは深く人に出会っていなかったので、故郷の面白さが分からず、閉塞感を持っていました」と話す。
15周年特別企画では、同じ埼玉出身の沖田修一監督、吉田恵輔監督にもスポットを当てているが、「沖田さんも吉田さんもひねくれているところがあって、それが創作したときに面白さとなっていますね。それが埼玉と関係があるかは分かりませんが、生まれたのが東京だったり、風光明媚な町だったら、違ったかもしれません」と話した。
地方都市の暗部を描く『ビジランテ』(17)では再び深谷市を舞台にした。「地元のフィルムコミッションに面白い方がいて、久々にその方と魂のあるものをやりたいな、と思ったんです。本業は農家の方で、選り好みも激しくて、僕がメジャー映画を撮るとひがむんですよ」と笑う。
上映作品の『22年目の告白―私が殺人犯です―』は、韓国映画『殺人の告白』(12)を藤原竜也、伊藤英明の共演でリメイクした大ヒットクライム・サスペンス。5人が犠牲になった迷宮入りの連続殺人事件から22年。突如、犯人を名乗る男(藤原)が自身の手記を発表し、世間をあっと驚かせる……というストーリーだ。
入江監督は、インディペンデント作品からメジャー作品まで、幅広く話題作を送り続けているが、「映画の予算規模は関係ないと思っています。お客さんが1800円を払うのは同じ。自分が撮りたいものを撮っています。この映画のオリジナルは韓国映画ですが、脚本も自分が書きました。真犯人も違いますし、後半はガラッと変えています。舞台の設定を95年にしたのも、当時、地元にいて、いろんなものを目の当たりにした衝撃を加えたかったからです」と明かした。
今秋には深谷でもロケを行った高杉真宙主演の『ギャングース』が公開を控えている。「格差問題やオレオレ詐欺の問題などが盛り込まれていて、日本の縮図のような映画になっています」。
Q&Aの最後には埼玉の映画文化にも触れ、「埼玉県には深谷シネマ、川越スカラ座という2つのミニシアターがあります。各地で映画館がなくなっていく中、個人の方が頑張っていて、貴重だなと思っています。この2つがあることで、埼玉の映画文化が豊かになっている。なくなっては困ります」とエールを送った。
15周年特別企画「飛翔する監督たち from SAITAMA」の次回上映は、7月21日(土)11時から映像ホールで上映される『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』。同日14時から多目的ホールで上映される『犬猿』では吉田恵輔監督が、同日17時から多目的ホールで上映される『横道世之介』では沖田修一監督と主演の高良健吾が、Q&Aを行う予定。