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【デイリーニュース】 vol.25 15周年特別企画「飛翔する監督たち from SAITAMA」沖田修一監督、高良健吾 Q&A 『横道世之介』
続編にも期待? 吉田修一原作の青春映画『横道世之介』
(左から)『横道世之介』の沖田修一監督、高良健吾
映画界の第一線で活躍する埼玉出身の映画監督にスポットを当てた15周年特別企画「飛翔する監督たち from SAITAMA」で、『横道世之介』(12)が上映され、沖田修一監督、主演の高良健吾が登壇した。会場の多目的ホールには午前から行列ができる大盛況で、多くの女性客で満席となった。中には高良を見るために熊本から駆けつけた熱心なファンもいた。
沖田監督は愛知県生まれ、埼玉県所沢市育ち。本映画祭の参加は初めてだが、「埼玉の映画祭に参加できるのは、うれしいです。駅から映画祭のノボリがあって、町ぐるみでやっている雰囲気がいいですね」。
高良は、本映画祭の長編コンペティション部門に出品された初主演映画『ハリヨの夏』で、2006年に参加している。「18歳の時に、初めて来た映画祭。戻って来られて、嬉しいです。当時は車の送り迎えはなく、電車でやってきました。映画祭なので、祭りだと思って、甚平を着てきたら、『こんな格好じゃ、ダメだよ』と言われてしまいました」と笑いを誘った。
本作は、吉田修一さんが法政大学時代の経験を基に綴った同名青春小説が原作。長崎から上京してきた純朴でお人好しな大学生・横道世之介(高良)を中心に、お嬢様育ちのガールフレンド・祥子(吉高由里子)を始め、周囲の友人たちが謳歌した80年代後半の青春とその後の人生を描く。ブルーリボン賞作品賞、主演男優賞を始め、数多くの映画賞に輝いた。
沖田監督は「当時、どんなことを高良君に言ったのか思い出せない。あんまり言わなかったのでは。僕も楽しんで、高良君の芝居を見ていた気がします」。高良は「何にも考えずに芝居をやっていた時期。ただ、景色だけはよく覚えています。監督からは『もう一回やろう』といわれたことが多かったんじゃないかな。これ以降の自分の仕事が変わりました。自分の代表作です」と胸を張った。
撮影の思い出を聞かれると、なぜか吉高の話題に集中。沖田監督は「吉高さんが『監督は全然怒らないので、怒って欲しいと言っている』と聞き、何かの機会に怒ってみようと思ったんです。ある時、まんまとセリフを噛んだので、『吉高!』って、叫んだら、誰も聞いていなくて、変な気まずい空気が流れ、一人で大笑いしました」。高良は「撮影中に太ろうと思い、毎日、弁当を2個食べていました。吉高も僕に合わせて、いっぱい食べていましたね。そのせいで水着のシーンはポッチャリしていた」と明かした。
原作者の吉田氏が文芸誌で『横道世之介』の続編の連載を開始したばかりとあって、観客からは続編の映画化を望む声も。高良は「本になってから読みたいと思っています。このチームじゃないと、イヤですよね」と言うと、沖田監督も「噂を聞いているので、できたらいいと思います」と意欲を見せた。
観客から映画への熱い思いを聞いた2人。最後に、沖田監督は「この映画を好きという人の声を聞いて、大変励みになりました。高良君と話せて、楽しい時間でした」。高良も「6年前に出た映画を、こんな風に上映してもらえたことがうれしい。誰かの心に残る映画になったんだと思いました。きょうは幸せな1日になりました」と喜びを噛み締めていた。
最後は高良の好意で、観客による撮影タイムが特別にもうけられ、ファンは大喜びでスマホやカメラを向け、大喜びだった。