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【デイリーニュース】vol.12 『ブルーを笑えるその日まで』武田かりん監督、渡邉心結、夏目志乃、片岡富枝 Q&A
自身の不登校、自殺未遂を題材にした青春ファンタジー 3年越しの企画に感激ひとしお
左から『ブルーを笑えるその日まで』武田かりん監督、渡邉心結、夏目志乃、片岡富枝
国内コンペティション長編部門出品作『ブルーを笑えるその日まで』は、孤独な女子中学生の葛藤、友情を描くひと夏の青春ファンタジー。作品の上映後、武田かりん監督、出演の渡邉心結、夏目志乃、片岡富枝がQ&Aを行った。
企画から、パイロット版の制作、クラウドファンディングを経て、本編制作。この日のワールド・プレミアまでは実に3年がかり。武田監督をはじめ、登壇者は目を潤ませていた。
主人公は、唯一の居場所は薄暗い立入禁止の階段という中2のアン(渡邉心結)。ある日不思議な商店でもらった万華鏡を教わった呪文を唱えながら覗いてみると、立入禁止のはずの扉が開き、その先の屋上で同じ万華鏡を持った生徒アイナと出会う……。
武田監督は2020年、東京工芸大学映像学科映画研究室の卒業制作でデビュー作の『そして私はパンダやシマウマに色を塗るのだ。』が複数の映画祭で賞を受賞した25歳。本作は10代の頃の不登校や自殺未遂など自身の経験を題材にした。
「タイトルの“ブルー”には青空、憂鬱な日々、青春、若い日の記憶といった意味を込めました。あの頃の私のために作った部分があったので、自己満足にならないように、エンターテインメントで包んで、観客の目線を意識して作ったつもりです。ファンタジー要素がありますが、できる限り現実に存在し得るものにしたかった。拙い部分もありますが、私はこの映画が大好きです」と武田監督。
主役の渡邉は中2の時にオーディションで役を勝ち取ったそうで、「私はアンとは真逆な性格。繊細な気持ちを表現したくて、監督とは1年以上役について話してきました」。
アンと心を通わせる図書館司書役の夏目も、「監督の思いがすごく大きくなっているのを肌で感じたので、現場に入る前までかなり質問しました。こういった作品は私も初めて。すごく心が入った作品となりました」。
アンが通う商店の店主役のベテラン、片岡も「いろいろな現場を経験してきましたけれど、初めての経験でした。最初にいただいた台本から1年経って、2つめの台本をいただき、監督の成長を目の当たりにしました。骨格が見事に見えて鳥肌がたちました」と振り返った。
主題歌には忌野清志郎の名曲「君が僕を知っている」を使用。劇中の2人の友情を際立たせている。
父親の影響で忌野を知ったという武田監督は「この人が私のことを知ってくれているから大丈夫と思える相手は中学生当時も今もいないので、アンとアイナの関係はそうであってほしいと思っていました。脚本の第一稿を書いた3 年前から、この曲を主題歌としてずっと聴いていました。プロデューサーと相談し、忌野さんの事務所さんにお手紙を書いて送ったら、恐れ多くも使わせていただくことができました」と裏話を明かした。
『ブルーを笑えるその日まで』の次回上映は7月21日(金)14時20分から多目的ホールで行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。オンライン配信は7月22日(土)10時から7月26日(水)23時まで。