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【デイリーニュース】Vol.01 第20回SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023開幕!

20周年アニバーサリー・イヤー幕開け!

オープニング・セレモニーに登壇した国際コンペティション、国内コンペティションの各コンペ部門の監督と審査員の皆さん

 

20周年を迎えたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023。7月15日(土)のオープニング・セレモニーには、出品作に関わるゲストや審査員、主催者など総勢32名が参加し、9日間にわたる映画祭が賑々しくスタートした。

 

コロナ明けの昨年に比べ、ハンガリー、デンマーク、トルコ、フランス、ウルグアイ、アゼルバイジャン、イタリアと海外からの訪日ゲストも増え、熱気で満たされるアニバーサリー・イヤーの会場。

 

上映は引き続き、スクリーン上映とオンライン配信上映のハイブリット。会場では大スクリーンで、家ではプライベートな環境で、映画祭を楽しむことが可能となった。スクリーン上映は15日(土)から23日(日)まで、オンライン配信上映は22日(土)から26日(水)までの期間となる。

 

オープニング作品の上映にさきがけて開催されたオープニング・セレモニーでは、映画祭実行委員の各氏が挨拶。20周年への思いを語った。

 

左から大野元裕埼玉県知事、奥ノ木信夫川口市長、八木信忠総合プロデューサー

 

■映画祭実行委員会会長を務める大野元裕・埼玉県知事の挨拶(抜粋)

 

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023が、立石泰広埼玉県会議長をはじめとする多くの皆様のご参加を賜り、このように盛大に開催できることを心より御礼を申し上げます。世界に先駆け、デジタルシネマの映画祭として開催された本映画祭も今年で20周年を迎えることとなりました。これも皆さまのご支援のおかげと改めて感謝申し上げます。

 

本映画祭をデジタルに特化したものとして開催したのは、ポストプロダクションがしやすく、相対的に安価に制作することができることから、若いクリエイターの方々に発表の機会を提供できると考えたためです。その願いは実を結び、新たな才能がこの映画祭から多数羽ばたいていきました。

 

かつて短編部門にノミネートされた石川慶監督は本年3月『ある男』で日本アカデミー賞最優秀作品賞など8部門を受賞。ほかにも白石和彌監督、上田慎一郎監督、片山慎三監督など名だたる監督がかつてこの映画祭において大きな成果を挙げられています。今回、国内コンペティションの審査委員長を引き受けていただいた中野量太監督も過去に長編部門で監督賞を受賞されており、2020年に公開された『浅田家!』はワルシャワ国際映画祭で日本映画初となる最優秀アジア映画賞、日本アカデミー賞では優秀作品賞など8部門を受賞されるなど映画界をリードされる存在となっています。

 

オープニングで上映する、映画祭20周年、開催地川口市の市政施行90周年を記念した『瞼の転校生』の藤田直哉監督も本映画祭短編部門優秀作品賞を受賞されています。このような成果をあげることができましたのも、本日ご来場いただきました皆様をはじめ、開催地である川口市民、審査委員、そして多くの皆様のご支援、ご協力の賜物。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

 

中野監督は、記者発表において、本映画祭に応募されたとき、「藁をもつかむ気持ちだった。応募された皆さんの気持ちが痛いほどわかる」とおっしゃいました。明日から7日間にわたり、そんな若手クリエイターの作品24本を上映致します。未来の映画界を担うべき才能を皆様の目で発掘をし、そして世界へ、活躍の場へと送り出していただきたいと思います。

 

また20周年を記念し、出身監督それぞれの最新作を上映し、本映画祭への思いやその後の歩みなどを語っていただく特集上映も用意しましたので、ご期待いただけたらと思います。

 

■開催市・川口市の奥ノ木信夫市長の挨拶(抜粋)

世界初のデジタル映画祭として始まった本映画祭は今年20周年の節目を迎えました。開催にあたり、ご協力いただいた多くの皆様に主催者の一人として、また主催都市の代表として、厚く御礼申し上げる次第です。今年は川口市もできるだけ映画祭をバックアップをさせていただきました。今年のコンペティションには、過去最多の1,246作品が寄せられ、厳選された24作品がノミネートされています。ノミネートされた監督には、本映画祭をステップとして活躍の場が広がることを大いに期待しております。

 

今年は映画祭20周年とともに、川口の市制施行90周年でもあります。昭和8年に、川口町が中心となって、青木村、横曾根村、南平柳村と合併し、川口市制が施行されたわけです。その90周年を記念して、県と協力し、オープニング作品として『瞼の転校生』を製作致しました。この作品の中には川口市がいろいろな場面で登場します。川口市民の方は、どこで撮影されたのかなども楽しんでご覧いただけたらと思います。

 

開催中は川口駅西口から無料直行バスも運転致しますので、多くの方にお越しいただければと思います。SKIPシティはNHKの進出が決まり、スタジオも4つできる予定です。運用がスタートしたあかつきには、川口駅のみならず、西川口駅、鳩ケ谷駅からのバスも増便したいと思っています。

 

若手映像クリエイターの登竜門として、ますます発展することを祈念して挨拶とさせていただきます。

 

ほか八木信忠・総合プロデューサーも登壇して挨拶。3人の主催者はいずれも、本映画祭の成功、そして参集者の健勝と多幸を祈念して挨拶を終えた。

 

続いて、土川勉・映画祭ディレクターが各コンペティション部門のノミネート作品およびクリエイター、予備審査員、審査員を紹介。最後に、全員が壇上に勢ぞろいして、賑々しく映画祭がスタートを宣言した。

 

左から国内コンペティション部門の審査員、映画評論家のマーク・シリング、俳優の和田光沙、映画監督の中野量太(審査委員長)、国際コンペティション部門の審査員、映画プロデューサーの豊島雅郎(審査委員長)、明石直弓、パトリス・ネザン

 

オープニングはSKIPシティ国際Dシネマ映画祭短編部門で優秀作品賞を受賞した藤田直哉監督

オープニング作品『瞼の転校生』左から藤田直哉監督、葉山さら、松藤史恩、高島礼子

 

オープニング・セレモニーに続き、オープニング作品『瞼の転校生』の上映が行われた。2020年に『stay』で本映画祭国内コンペティション短編部門優秀作品賞を受賞した藤田直哉監督の長編デビュー作で、映画祭20周年と川口市制施行90周年を記念して製作された作品でもある。

 

父親が座長を務める大衆演劇一座とともに、ひと月の公演ごとに学校を転々としている中学生が、クラスメイトや不登校の生徒との出会いを通して成長していく姿を描く青春ドラマだ。上映前には、藤田直哉監督と松藤史恩、葉山さら、高島礼子が舞台挨拶を行った。

 

藤田直哉監督は、「2020年に賞をいただいた時はコロナ禍ですべてオンライン開催だったので、今回改めて沢山のみなさんに見てもらえる機会をいただけて嬉しく思います」と挨拶。本作は大衆演劇という一種特殊な世界を描いているが、「北海道から20歳を過ぎて上京してくるまで大衆演劇という文化を全く知らず、カルチャーショックを受けて、その面白さに興味を持って映画の題材にしました」と語った。

 

毎日学校を早退して大衆演劇の舞台に立つ中学生・裕貴役の松藤史恩は、白塗りの女形姿も踊りも美しく、本物の大衆演劇の役者かと思ってしまいそうだが、「この撮影まで大衆演劇というものを全く知らなかった」のだとか。「団員さんから話を聞いたり、教えてもらって。大衆演劇は毎日違う公演のセリフを覚えたり、かつらもすごく重いし大変。白塗りは歌舞伎体験でやったことはあったんですが、やっぱり緊張しました」。

 

裕貴によって大衆演劇に興味を持ち始めるクラスメイトのまや役の葉山さらは、「裕貴と健を力強く引っ張って行く役なので、エネルギーとかパワーをどう表現するか監督と何度も話し合いながら進めていきました」。藤田監督曰く、「3人の中で一番年上の彼女は現場ではお姉さん的な存在。プライベートでも仲良くなった彼らの関係性がうまく画面に出て凄くいいシーンになったと思います」。

 

タレント志望だが迷走中の娘を持つ母親役を演じた高島礼子は、「今の子どもたちは物凄くしっかりしているなと思いました。親も子どもを信じて見守って、同じ目線で見て応援する。子どもの敬語の使い方なども新鮮で、それもこの作品の面白いところ。大衆演劇は、お客さんや芝居をされている方たちの一所懸命な姿を見て自然に背筋が伸びてくるというか、パワーを感じました」と語った。

 

ゲストがそれぞれ印象深い撮影場所として挙げたように、「ゴリラ公園の上の道路」(松藤)や「川口西公園」(葉山)、「SKIPシティのつぼ八(!)」(高島)など、川口市内各所でロケが行われており、川口の魅力もたっぷり感じることができる作品だ。

 

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023は、7月23日(日)までスクリーンで、7月22日(土)から26日(水)まではオンライン配信で開催され、各コンペティション部門の受賞結果はスクリーン上映最終日の23日に発表される。
 


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