国際コンペティション
Before It Ends(英題)
Before It Ends
- 上映日時
- 7/16(火)11:00 映像ホール
- 7/20(土)14:00 多目的ホール
本作は作品権利上の都合により、オンラインでの視聴はございません。
目の前の難民を救うべきか、見殺しにするか
大戦混乱期、人は何を選ぶのか
©2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
監督:アンダース・ウォルター
出演:ピルー・アスベック、ラッセ・ピーター・ラーセン、カトリーヌ・グライス=ローゼンタール、モルテン・ヒー・アンデルセン 、ペーター・クルト
配給: スターキャット(https://cinema.starcat.co.jp/bokuno/)
2023年 / デンマーク / 101分
第二次世界大戦下のデンマーク。ドイツの占領下にあった市民大学の校長ヤコブは、500人以上のドイツ人難民を受け入れるよう命じられ、妻のリスとともに理不尽な状況に追い込まれる。限界を超えた収容環境の中、疫病が蔓延し、一人、また一人と難民が命を落としていく。病に倒れる難民を助ければ裏切り者の烙印を押され、全てを失う危険性がある。戸惑い、選択を迫られる日々の中、12歳の息子セアンは、葛藤する両親の姿に不満を抱き、レジスタンス活動を手伝い始める…。アンダース・ウォルター監督は、アカデミー賞短編実写映画賞を受賞するなど短編作品から高い評価を得てきた。『バーバラと心の巨人』(17)に続く長編2作目となる本作で、これまでデンマーク映画史の中でもあまり描かれてこなかったドイツ難民の存在に焦点を当て、戦争という極限の暴力の中、いかにして人間性を保つのかという、現在進行形で私たちが問われ続けている人類の命題を、繊細かつ重厚な演出で描き、観る者に問いかける。
監督:アンダース・ウォルター
1978年生まれ、デンマーク出身。アカデミー賞受賞歴のある映画監督・脚本家。1999年に渡米し、ニューヨークの美術学校スクール・オブ・ビジュアル・アーツにて映画制作を学ぶ。2013年、短編映画『9meter』(12)が、第85回アカデミー賞短編部門のショートリストに入り、翌年の第86回アカデミー賞にて『HELIUM(原題)』(13)が短編実写映画賞に輝く。ハリウッドからのオファーを受け、人気グラフィックノベルの実写映画『バーバラと心の巨人』(17)で初めて長編映画のメガホンをとる。アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミー(AMPAS)とデンマーク映画アカデミーの投票メンバーでもある。
メッセージ
本作はドイツ難民とデンマーク人のどちらか一方を非難するのではなく、人と人との対立を探求しようとする映画である。第二次世界大戦はデンマーク映画でよく描かれるが、ドイツ難民の物語は、いまだに書き残されていない。ひとつの問題を多面的な視点で描き、決定的な答えや責任の所在を示すのではなく微妙なニュアンスを届けることに努めた。本作は、今日の私たちが直面している現実を反映しながら、人間性についての認識を語りかける。勇気、誠実さ、思いやりの物語であり、魅惑的で、示唆に富み、会話のきっかけとなる映画である。