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【デイリーニュース】Vol.07『嬉々な生活』谷口慈彦監督、西口千百合、石橋優和、竹内大騎 Q&A

嬉々が幸せになるべきだと思ってもらえたら成功だと思っています

嬉々な生活』左から谷口慈彦監督、竹内大騎、石橋優和、西口千百合

 

国際コンペティション長編部門に日本作品で唯一出品された『嬉々な生活』は、本映画祭の常連・磯部鉄平監督の作品『ミは未来のミ』(20)『コーンフレーク』(20)などのプロデュ―サーで、これが長編2作目の谷口慈彦監督作。本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。上映後、谷口監督、主演の西口千百合を始め、妹役の石橋優和、弟役の竹内大騎がQ&Aに登場した。

 

主人公は父・賢介、母・真弓と幼い弟・諒(竹内)と妹・杏奈(石橋)と暮らす嬉々(西口)。団地に引っ越して、幸せな毎日を過ごすが、母の突然の死で生活が一変。悲嘆にくれた父は失業、嬉々がアルバイトをしながら、幼い弟と妹の面倒をみることに……。

 

谷口監督が演技指導する芸能プロダクション所属の子役たちを起用し、当て書きした上で昨年3~4月にかけて撮影した。初主演の現役高校2年生の西口が、困難な状況でも生命力たくましく生きる主人公を好演したほか、子どもたちが生き生きしている。

 

主人公の名前について、観客から「由来は『魔女の宅急便』ですか?」との質問が飛ぶと、谷口監督は「僕が小学校ぐらいのときにアニメを見て以来、ずっとファンでした。理想の女の子だなと思っていたので、キキと名付け、漢字を当てはめたら、しっくりきたんです」と明かした。

 

女子中学生を主人公にした理由には「14〜15歳の年代は多感で、大人でもなければ、子どもでもない時期。この時期に経験することで、人生が変わっていくことが多いと勝手に思い、キャラクターをふくらませる中、ヤングケアラーという設定になりました。特にヤングケアラーがテーマということではなかったんです」と話す。

 

主演の西口は9歳のときから子役として演技レッスンを受け、約2年谷口監督の指導を受けている。

 

「大きな作品に出るのが初めてだったので、ワクワクしました。自分らしく演技すれば大丈夫と思っていました。けがしたお父さんを自転車の後ろに乗せて、病院まで行くシーンが印象に残っています。初めて自分が出演した映画を見ることができてうれしかった」と初々しく語った。

 

谷口監督は弟役の竹内、妹役の石橋には台本を渡さなかったそうで、「意味が分からないのに台詞を渡しても意味がないと思っています。台詞をガチガチに決めたりせずに、その場で理解できる会話に限定して言いそうなことをやってもらいました」

 

映画は重いテーマを取り上げているが、観客からは「とても面白かったし、感動的だった。5年後の嬉々ちゃんを見てみたい」という感想も。谷口監督は「僕は、嬉々が幸せになるべきだと思ってもらえたら、成功かなと思っていたので、そういっていただけると、うれしいです」。主演の西口は「5年後には女優になっていたいです」と夢を語った。最後に、谷口監督は「撮影から1年を経て、反省する部分もあったので、ぜひ、みなさんのご意見、ご感想を伺いたいです」と呼びかけた。

 

嬉々な生活』の次回上映は7月17日(水)10時30分から多目的ホールで行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。オンライン配信は7月20日(土)10時から7月24日(水)23時まで。

 

取材・構成・撮影:平辻哲也


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