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【デイリーニュース】Vol.20 みんなが観たい上映作品『トップガン マーヴェリック』戸田奈津子 トークイベント「映画字幕翻訳の楽しみ方」

誕生日の7月3日、毎年トム・クルーズから大きな花束が届く字幕翻訳家・戸田奈津子

字幕翻訳家の戸田奈津子さん

 

映画ファンによるアンケートで選ばれた上位4作品を上映する特集「みんながみたい上映作品」。トム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』(2022)が19日、映像ホールで上映され、字幕翻訳家の戸田奈津子さんのトークショーが行われた。

 

86年『トップガン』の34年ぶりの続編。新型コロナウイルスがまだ収まり切っていない状況の中、トムの来日も大きな話題となり興行収入137億7000万円と日本におけるトムの作品史上最高のヒットを記録した。戸田さんもこの日、上映の途中から入場し「ちょっと見ただけでその世界に戻れました」と笑顔で話した。

 

これまで1500本以上の日本語字幕を手掛けた第一人者。だが、「週1本はやっていたのよ。だから年間50本。凄いでしょ。配給会社がそれしか時間をくれなかったのよ。良くても10日だったわね」と、自慢とも恨み節とも取れる発言で笑いを誘った。

 

『トップガン マーヴェリック』に関しては海軍の専門用語も多く使われているため、「コネを使って自衛隊でF-15にも乗っていた元ジェネラルに付いていただいてアドバイスをもらった。本物のパイロットの方も見にいらして、何の違和感もないとお墨付きをいただいて非常にうれしかった」と述懐。さらに、「自衛隊の基地でトムが乗っていたものと同じ戦闘機のコックピットに乗せてもらった。役得でした」とうれしそうに明かした。

 

トムとは1992年『遥かなる大地へ』で来日した際に通訳を務めてからの付き合い。誕生日が同じ7月3日ということを知ったトムからは、この10年ほど毎年、当日の朝に巨大な花束が届くほどの信頼を得ている。

 

戸田さんはその人柄を絶賛。特にファンサービスに対しては、「長い距離のレッドカーペットでサインや握手をしたりするでしょ。大抵のスターは途中ではい、さよならとなるけれど、トムは最後の一人までやる。だから、2時間取ってくれと彼のほうから言ってくるのよ。それを世界中でやっているのだから凄い人ね」と称えた。

 

先日、テニスのウィンブルドン選手権の決勝で、トムが観戦していたことが話題となったが、「この前メールが来て、コロナで延期になった『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART TWO』をまだ撮っていて、スタジオがロンドンだから行っていたの」とあっさりと秘話を披露。また、6月にはプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが『トップガン』の第3作の脚本が完成したことを明かしたが、「そのメールには、企画が3つあると書いてあったから、その1本ね。彼は24時間、映画のことしか考えていないのよ」と語ると、会場からは驚きの声が上がった。

 

通訳業は22年に引退したが、字幕翻訳家としてはバリバリの現役で「できる限り、いい映画ならやります」と意気軒高。そして、「映画の現場の人は、大きなスクリーンを見据えてカメラを回し演技をしている。こんな小さな画面(スマートフォン)で早送りして見ちゃダメ。作った人への敬意、礼儀として劇場で映画を見てください」と呼びかけた。

 

取材・構成・撮影:鈴木元


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