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【デイリーニュース】Vol.21 特集「商業映画監督への道」『ウルトラミラクルラブストーリー』横浜聡子監督、中野朝子プロデューサー トークイベント

やりたいことをやり遂げることで周りが喜びを感じるような存在に

ウルトラミラクルラブストーリー』横浜聡子監督、中野朝子プロデューサー

 

特集「商業映画監督への道」として、国内コンペティションの審査委員長を務める横浜聡子監督の商業映画デビュー作『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009)が19日、映像ホールで上映された。

 

横浜監督と中野朝子プロデューサーが、上映後にトークショーとQ&Aセッションを実施。横浜監督は「久しぶりに見て、やりたいことを詰め込みすぎたなと自分でビックリした。本当に私が作ったの? と思った」と苦笑いで振り返った。

 

自主制作の2006年『ジャーマン+雨』がリトルモアの孫家邦プロデューサーの目に留まり、同社が配給し劇場公開することになった。全国のミニシアターで上映され、宣伝を担当したのが中野氏。その縁で次回作として実現したのが『ウルトラミラクルラブストーリー』だ。

 

青森で農業をしながら暮らす子どもっぽい青年の陽人が、東京からやってきた保育士の町子に一目ぼれ。ほとんど相手にされなかった陽人の体にある異変が起きたことから、次々にありえない事態を引き起こしていく。横浜の故郷の青森でロケが行われ、台詞も全て津軽弁。同県出身の松山ケンイチが主演した。

 

Q&Aでは、国内コンペ短編部門に『私を見て』が選出された山口心音監督が脚本執筆の際に心掛けたことについて質問。横浜監督は、「論理的に考えて構成するのが苦手で、具体的にやりたいことを集めてそれをどうつなげて物語を発生させるかというタイプ。地元の風景には根源的なイメージがあって、ビデオカメラで映していると、自然に物語が浮かんできた」と説明した。

 

さらに、監督としてやっていく上での意識の持ち方を問われ「やりたいことをやり遂げることで周りが喜びを感じる。監督がうれしそうにしているとスタッフ、俳優を突き動かす原動力になります。それを心に留めて、周りに流されず守り続けるといい空気が生まれると思います」と指南。『ウルトラミラクルラブストーリー』に関しても、「初の商業映画で予算もスタッフも増え、役者もプロばかりでしたが、スタッフと俳優の力があったからこそやり遂げることができました」と自身の体験を踏まえ激励した。

 

また、同長編部門で『雨花蓮歌』が上映された朴正一監督からは「今の商業映画に失望している。女性が悲しい目に遭うこともあり、女性監督として今後どうすればいいと思うか」という厳しい指摘も。これに対し横浜監督は、「私は女であることに無自覚的に生きてきたタイプで、女性監督というのも周りが勝手に決めたこと。監督として俳優と向き合う上でパワハラなどをした記憶はないが、あくまで自分の考えで実際はどうか分からない。可能な限り対話をしていくことが大事。第三者が入る場合もあるが、一人の人間と人間との関係性でしかないので、自分はそこに一番力を割きたいと思っている」と毅然と答えた。

 

取材・構成・撮影:鈴木元


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