国際コンペティション
連れ去り児(ご)
Stolen
- 上映日時
- 7/14(日)14:00 映像ホール
- 7/17(水)16:30 多目的ホール
本作は作品権利上の都合により、オンラインでの視聴はございません。
乳児誘拐犯は誰なのかーー事件に巻き込まれた兄弟の予測不能な追走劇
【デイリーニュース】Vol.05『連れ去り児(ご)』カラン・テージパル監督 Q&A
スリリングな追体験で訴えかける94分のインド映画
©Jungle Book Content Studio Pvt. Ltd.
監督:カラン・テージパル
出演:アビシェーク・バナルジー、シュバム、ミア・メルザ、ハリシュ・カンナ、サヒドゥル・ラハマン
2023年 / インド / 94分
あるインドの田舎町。駅のホームで寝ていたジュンパ・マハトの元から赤ん坊が連れ去られた。帰省の途中、駅に立ち寄ったゴゥタムとラマンの兄弟は、子どもを誘拐した犯人と間違われ、事件に巻き込まれていく。本作は、インドで実際に起こった乳児誘拐事件を題材に、厳しい経済格差の現状や、防犯意識がSNSなどを介して増幅されていく現代社会の闇を、重厚なエンターテインメントとして描いている。我が子を誘拐された母親役のミア・メルザは、貧困層であるがゆえに、富裕層であるゴゥタムからその訴えに疑いを持たれつつも、強い意志で子どもの行方を探し続ける女性を熱演。北京国際映画祭で最優秀女優賞を受賞し、監督のカラン・テージパルも最優秀監督賞を受賞した。本作は、そのほか、ベネツィア国際映画祭など数々の国際映画祭のコンペティション部門に選出され、受賞している。初長編監督作品でありながら、緊張感に溢れた物語が観るものの心を捉え、記憶に残る一作となるだろう。
監督:カラン・テージパル
1984年、ニューデリーで軍人家庭に生まれる。高校時代にスポーツに目覚め、デリー大学セント・ステファンズ・カレッジ時代にプロのポロ選手となり、世界各地でプレーする。その後スポーツから映画の道へ進み、ボリウッドで助監督を経験したのち、監督、脚本家として自主映画制作を開始する。サンダンス国際映画祭とインド国立映画開発公社の脚本ラボで認められ、残虐性と人間性を並置させることで世界の複雑さに深く切り込むスタイルを確立する。初長編作品である本作では、そのような複雑さのなかに見いだされる希望と理解を描いている。
メッセージ
映画制作において、常に社会の厳しい現状、特に弱者の存在や社会システムの脆弱性に光を当ててきた。本作は、観客のみなさんに、事件を追体験してもらいたいと考え、シネマ・ヴェリテのスタイルを意識した。登場人物に伴走しつつ、真実はどこにあるのか、果たして正義はあるのか、確かめてもらいたい。娯楽として鑑賞するだけでなく、複雑な社会について考えていただくことで、本作がより良い未来を作る一助となることを願っている。