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【デイリーニュース】Vol.08『昨日の今日』新谷寛行監督、橋本美和、青山卓矢、眼鏡太郎 Q&A
俳優たちと企画から立ち上げた見ごたえあるストーリー
左から新谷寛行監督、橋本美和、青山卓矢、眼鏡太郎『昨日の今日』
国内コンペティション長編部門の『昨日の今日』は、長編初挑戦の44歳の監督が2人の俳優とともに企画から立ち上げた。ケラリーノ・サンドロヴィッチ率いる劇団「ナイロン100℃」の劇団員・眼鏡太郎らが出演。本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。上映後、新谷寛行監督、出演の眼鏡太郎、橋本美和、青山卓矢がQ&Aに登場した。
友だちの楓を自宅に招き、裏庭で流星群を観測することになっていた高校生の結衣(平澤瑠菜)。父の雄一(眼)もそれに便乗するかたちでバーベキューの準備を始めるが、そこに母・紀美子(橋本)のはとこ・辰彦(青山)、母の友人があらわれ、さらには呼んでもいない隣人も参加し、不思議な宴に。本音と建前が行き交う会話、妙な間がおかしみを生み、やがては本性があぶり出されていく。ラストの大展開には驚くだろう。
新谷監督は1980年大阪生まれ。2016年にndjc:若手映画作家育成プロジェクト2016に選出され、『ジョニーの休日』を制作。2018年には『王様の選択』、『夕焼けスクランブル』を制作している。
本作は出演俳優の橋本、青山が企画段階から関わり、“FOUNDER(創設者)”としてクレジットされている。
新谷監督は「こんな大きなスクリーンで見ていただくことができて感無量です」。はとこ役の青山は「『新谷監督と橋本さんと長編をやりたいよね』と話したのが出発点でした」。母役の橋本も「最初は夢物語を語るような感じで、実現すると思わなかったし、ここ(映画祭)まで来られるとも思わなかった。今、いろいろとこみ上げるものがあって、言葉が見つからないんですが、ここから広げていけるように努めたい」と目を潤ませながら挨拶した。
企画から上映までは3年がかり。橋本は「最初は違う話でしたが、予算などの事情があって、今回の作品になりました。最初に本を読んだときは、ゾワゾワして、怖い。同時にワクワクしました。(変更の末)こういうラストになってよかったと思っています」。監督の短編映画にも出演した青山は「先が読めないのが新谷さん脚本の面白さ。足された後半部分にも見ごたえがある。客観的にも、面白いと思いました」と自信を見せた。
眼は「新谷さんは僕の役は当て書きじゃないとおっしゃっていますけど、夫婦関係であったり、父親の仮面をかぶっている部分など、僕にも覚えがあり……。そんな本性は見せたくもないし、見たくもないのですが、それこそが人間が持っている感情。そこを的確に観察して、作品として表現しているところが新谷さんの面白さです」と話した。
最後に、新谷監督は「青山さん、橋本さんを含め、スタッフ、キャストのみなさんには迷惑ばかりかけて作りました。今後はそれを感謝として返せるように頑張っていきたいなと思っております。今後も展開していきたいので、応援していただけるとありがたいです」と支援を呼びかけた。
『昨日の今日』の次回上映は7月19日(金)14時10分から多目的ホールで行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。オンライン配信は7月20日(土)10時から7月24日(水)23時まで。
取材・構成・撮影:平辻哲也