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【デイリーニュース】Vol.18『子を生(な)すこと』アンドリュー・グラント プロデューサー、ジュディス・ボイト監督 Q&A

困難に立ち向かいながらも愛し合う2人の姿を映画に収めたい! 

左からジュディス・ボイト監督、アンドリュー・グラント プロデューサー『子を生(な)すこと

 

国際コンペティション長編部門のドイツ・ノルウェー合作作品『子を生(な)すこと』は、子を生すことを希望する女性同士のカップルの10年愛を描くドキュメンタリー。上映後、ジュディス・ボイト監督とプロデューサーのアンドリュー・グラントがQ&Aに登場した。

 

10代のときに事故で下半身不随となり、車椅子生活を送るドイツ人アーティストのマリアと訪問看護師クリスティアーネは恋に落ち、一緒に暮らし始める。やがて2人の子どもを生みたいと考え、医療制度内の障害、肉体的、年齢的な制約など数々の困難と向き合っていく……。映画の中ではマリアが手掛けたアニメーションが効果的に使われている。

 

ボイト監督は、13歳のときからマリアの友人で、東ベルリン育ち。コンラート・ヴォルフ映画テレビ大学ポツダムにて演出を学び、サンクトペテルブルク、ベルリン、テヘランでいくつかの短編・中編ドキュメンタリーと短編風景映画を制作。本作が初の長編監督作となった。

 

ボイト監督は制作の経緯について、「マリアとは10 代の頃から友だち。マリアがクリスティアーネとお付き合いするのを見てきました。マリアが障害を抱えていることもあり、さまざまな困難に対処しながらも愛し合っている姿に触発されるものがありました。そんな2人を映画に収めたいと思ったのですが、当初は自分の中に語るべきストーリーがなかったのです。しかし、2人が子作りを希望しているという話を聞き、10年前から撮影を始めました」と語った。

 

ドイツはジェンダーへの意識が高い国でもあるが、10年前はまだ女性のカップルが子作りに挑戦することは目新しいことだったそうで、医学的にも法的にも、さまざまな障壁があったという。映画の中で、2人の親密さを説明する手段として、マリアによるアニメーションを使ったことには、「2人の身に起こったことをすべて表現することは難しかったので、当初から別の方法はないかと考えていました。クリスティアーネの協力も得て、アニメとして描くことにしました。マリアは普段、多くを語らない人だったので、内に秘めた思い、ユーモアの感覚を見せることができました」とボイト監督。

 

「マリアとクリスティアーネは作品を見たのか?」と聞かれると、プロデューサーのグラントは「マリアさんはファイナル・カットを見ていただきました。そのときはまだクリスティアーネさんは気持ちの整理がついておらず、見ていただけませんでしたが、ドイツでのプレミア上映は見ていただきました。2人にとってはつらい内容だったと思いますが、映画自体には満足いただけたようで、ドイツ全国で行った上映会には参加いただきました」と明かした。

 

マリアとクリスティアーネは、19日に来場予定。本上映はドイツ国外では初だそうで、出演者の2人も日本での反応、感想を楽しみにしている。

 

子を生(な)すこと』の次回上映は、7月20日(土)11時から多目的ホールで行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。オンライン配信は7月20日(土)10時から7月24日(水)23時まで。

 

 

オンライン配信は7月20日(土)10時から7月24日(水)23時まで。

 

取材・構成・撮影:平辻哲也


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