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【デイリーニュース】 vol.05 『短編 ②』 Q&A 『水戸黄門Z』『なぎさ』『DEPARTURE』『冬が燃えたら』
監督たちの挑戦と描きたかったものへのこだわり
左から『水戸黄門Z』大川祥吾監督、後藤勝徳(出演)、『なぎさ』古川原壮志監督、青木堯プロデューサー、『DEPARTURE』園田新監督、ウダタカキ(出演)、『冬が燃えたら』浅沼直也監督、澤田和宏(出演)
短編コンペティション部門の第2グループ『短編②』では、なんと水戸黄門が歌って踊って悪を裁く時代劇ミュージカル『水戸黄門Z』、高校生の男女がプールサイドで交わす会話から切ない思いを描く『なぎさ』、自殺しようとしていた女子高校生とそれを止めた男のロードムービー『DEPARTURE』、息子が認知症の母親を連れて網走を旅する『冬が燃えたら』の4作品が上映された。
上映後のQ&Aには、『水戸黄門Z』の大川祥吾監督と黄門役の後藤勝徳さん、『なぎさ』の古川原壮志監督とプロデューサーの青木堯さん、『DEPARTURE』の園田新監督と主演のウダタカキさん、『冬が燃えたら』の浅沼直也監督と主演の澤田和宏さんが登壇した。
『水戸黄門Z』の大川監督は、「もともと好きだった時代劇を新しく見せられないかなと思って、『サムライオペラ』(13)という時代劇ミュージカルを作りました。これは全編英語だったので、今回は日本語で時代劇ミュージカルをやろう、やるなら日本で一番有名な『水戸黄門』だったら面白いと思ったのが作品を作ったきっかけです。調べてみると、本物の黄門様はほとんど旅をしていない。全然違うのでチャレンジしてみたいなと」とこの奇想天外な作品のアイデアを説明した。
助さん・格さんを従えつつ自らも戦う黄門様を演じた後藤さんは、「役をもらった時、年齢が全然ちがうとは思いましたけど(笑)。日本中にイメージが定着している役で、せっかく“Z”もついているので、一行のなかで一番強そうな黄門様を目指しました」。
夏のプールの美しい映像と水しぶきの音、少ないセリフで繊細な世界を描いた『なぎさ』の古川原監督は、「現実なのか夢の世界なのかわからないあのラストシーンを描きたいと思って、それを短編という形にした感じです」と話す。
プロデューサーの青木さんはキャスティングも担当した。「メインのふたりは高校生ではありますが、ルックスと演技力にこだわりたかった。CMで仕事をしたことのある大手事務所に恐る恐る打診したところ、意外なほど快く協力してもらえました」。監督も主演のふたりには大満足の様子だった。
『DEPARTURE』は、釜山国際映画祭の若手映画作家支援プロジェクトのために執筆したオリジナル脚本を、園田監督自身がセルフリメイクした作品。「韓国ではほかの国の監督さんが演出したんですが、僕自身がそれを見たときに、日本人の心で作り直す必要を感じました。ロードムービーを作ってみたかったこともありますし、感情の詰まった、役者さんを見るだけで楽しめる映画を作ることに挑戦しました」。
1年前に妻を亡くし複雑な思いを抱える男を演じたウダさんは、撮影を当初の予定より1年間延ばさざるを得なかったにもかかわらず出演を快諾してくれたと監督は言う。「園田監督とは同い年で、同世代としてもぜひ一緒にやりたかった。ですからいつでもOKです。3年までは待ちます」と笑わせた。
親子が旅する網走のロケーション撮影も美しい『冬が燃えたら』の浅沼監督は、「この作品は実際の事件をモチーフにしています。過剰な演出や説明的なセリフを避けて、季節とロケーション、役者の息づかいだけでどれだけ人に伝わるかということをやってみたかった」という。
認知症の母を大切に思いつつも時に乱暴に扱ってしまう息子を演じた澤田さんは、「僕もどちらかというとマザコンなので、共演した女優さんが本当の母親にしか見えなくなっていきました。ラストの食事のシーンでは息子と母親の関係性が自然にできて、それは演じていて不思議な感覚でした」と撮影を振り返った。
『短編②』は、7月19日(水)14時から映像ホールで上映が行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。また、7月17日(月・祝)には11時から彩の国さいたま芸術劇場 で、同日12時50分からこうのすシネマでサテライト上映も行われる。