短編コンペティション部門
短編 ② (合計82分)
水戸黄門Z/Mitokomon Z
<2016年/日本/25分>
歌って踊って悪を裁く!
こんな水戸黄門、観たことない!
旅を続ける水戸黄門御一行。立ち寄った町で良からぬ噂を耳にし、すぐさま町の内情を探るべく行動を開始する。一方、助三郎は偶然出会ったどこか哀しげな町娘のお鶴と、一目で恋に落ちてしまう。
©Mitokomon Z
監督:大川祥吾
出演:後藤勝徳、前川茂輝、斉藤潤樹、今泉ちえこ、佐々井隆文、嘉悦恵都、牛丸亮
<解説>
30歳の時にIT業界を辞め、映画の自主制作を始めた大川祥吾監督が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014をはじめ数々の映画祭で受賞したミュージカル時代劇『サムライオペラ』(13)に続いて手掛けた本作。今回は誰もが知っている「水戸黄門」を題材に、再びミュージカル時代劇に挑んでいる。水戸黄門をはじめ、おなじみの助さん、格さんたちが歌って踊る斬新さに加え、TVドラマでも見られた、助さんが惚れっぽい二枚目という設定も生かされている。またロケは全て徳川家ゆかりの地で行なわれるほどの徹底ぶり。可憐な歌声を披露しているヒロイン・お鶴役の嘉悦恵都は、ミュージカルの舞台を中心に活動しており、現在放送中のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」にも出演している。
監督:大川祥吾
1978年北海道生まれ。モバイルコンテンツやソーシャルゲームの開発・運営会社でクリエイティブを学び、2009年に独立して映画制作の道へと進み始める。2013年に制作した時代劇ミュージカル短編映画『サムライオペラ』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭をはじめとした国内外の映画祭15か所で入選・受賞を果たす。
なぎさ/NAGISA
<2017年/日本/18分>
夏、水しぶきの喧騒の中、
聞こえてきたのは彼女の声だけだった。
高校のプールサイド。体育の時間、クラスメイトの男女が見学をしている。この時二人は初めて話をした。たわいもない話。移ろい、消えゆく時間の中で、彼女の声が耳に残る。淡く切ない物語。
©Takeshi Kogahara Film
監督:古川原壮志
出演:遠藤健慎、浅見姫香、常間地裕、三池友弥、高浦修、池田奈美子
<解説>
数々のTVCMを手掛け、広告映像のディレクターとして釡山国際広告祭での受賞をはじめ多くの実績を残してきた古川原壮志監督が、短編映画の世界でもその才能を発揮して製作された本作。プールの水、空、プールサイドの床を、同じ青色でありながら微妙に色感を変えた繊細な映像表現と、短編ならではの構成が、従来の学園ものとはひと味違う青春の脆さを映し出している。主演の遠藤健慎は、『ホットロード』(14)、『がらくた』(16)、『グッバイエレジー』(16)などに出演。ヒロイン役の浅見姫香は『きいろいゾウ』(12)、『めめめのくらげ』(13)、『思春期ごっこ』(14)や、多くのTVドラマに出演しており、期待の新人の瑞々しい存在感も印象的な作品となっている。
監督:古川原壮志
アメリカ・カリフォルニア州Art Center College of Designを卒業。ミュージックビデオ、TVCMディレクターとして活動。2015年からCluB_Aに所属。カンヌライオンズ、釜山国際広告祭、Adfestをはじめとした広告祭で受賞、入賞多数。また短編映画においても、LA SHORTFILM FEST、ショートショートフィルムフェスティバル&アジアなどに選出されている。
DEPARTURE/Departure
<2016年/日本/17分>
道を間違えても、また出発すればいい。
男と女の“再生”の物語。
路上で花を手向けていた男が、自殺しようとしていた女子高生を助ける。止める気はない…だがここはダメだ…男は一年前に同じ場所で妻を亡くしていた。二人の出会いが、お互いの計画を狂わせていく。
©Shin Sonoda
監督:園田新
出演:ウダタカキ、笠原千尋、榊孝輔、原田佳奈(友情出演)
<解説>
園田新監督は、これまでに脚本、監督、配給、宣伝まで自らトータルプロデュースした初長編作品『Wiz/Out』(06)、彩の国ビジュアルプラザが実施する若手クリエイターの育成を目的としたプログラムD-MAP2009に選出された『ネムリバ』(10)、最新作『リバースダイアリー』の長編3作と、数多くの短編を監督している。妻を亡くした男を演じるのは『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(09)や『凶悪』(13)、『牝猫たち』(16)など白石和彌監督作品に常連のウダタカキ。男と出会う女子高生を演じたのは、本映画祭で2013年に審査員特別賞を受賞した『神奈川芸術大学映像学科研究室』の事務職員役が印象的だった笠原千尋。笠原千尋は放送中のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」にも出演しているほか、本作の演技で第12回山形国際ムービーフェスティバル最優秀俳優賞を受賞している。
監督:園田新
ニューヨークで映画づくりを学んだ後、2007年、初長編作品『Wiz/Out』をユーロスペースにて公開。D-MAP2009に選出され、長編映画『ネムリバ』(10)がユナイテッド・シネマにて劇場公開。函館港イルミナシオン映画祭・シナリオ大賞にて自身の長編用映画脚本がグランプリを受賞。2017年、長編映画『リバースダイアリー』を製作。
冬が燃えたら/if winter burned
<2016年/日本/22分>
息遣いしか聞こえない冬の終わりの網走で、
命が燃えて無くなる。
網走の町を訪れた認知症の母と青い髪の息子。二人は仲良く観光しているが、母の病状が次第に悪化していく。疲弊した息子は、静寂の中、母を愛おしく抱きしめることしかできないのだった。
©Altan Cinemas
監督:浅沼直也
出演:澤田和宏、森恵美
<解説>
冬の網走でオールロケが行われ、第9回オホーツク網走フィルムフェスティバルでオープニング特別上映作品として上映された本作は、実際の事件をモチーフに、セリフを一切無くした演出で親子二人の悲劇とそこに至る愛情を大胆に表現している。浅沼直也監督はこれまでに、2012年の本映画祭で長編部門にノミネート、第6回田辺・弁慶映画祭では市民審査賞を受賞し、その後劇場公開された長編『Heat Beat』(12)や、ndjc2013参加作品『鉄馬と風』、2015年の本映画祭でも上映された若手映像クリエイターをプロデュースするプロジェクト「Go-all」のオムニバス『4/猫―ねこぶんのよん―』の一編「一円の神様」などを監督している。主演の澤田和宏は、『漫才ギャング』(10)の端役でデビューし、浅沼直也監督の『The Salad Rudies』(15)で初主演。母親役には『サーチン・フォー・マイ・フューチャー』(16)、『ナポリタン』(16)などの森恵美。
監督:浅沼直也
1985年長野県出身。東放学園映画専門学校卒業。脚本家・我妻正義氏に師事。弱冠19歳で深夜ドラマにて脚本デビュー。2013年、テレビ東京ドラマスペシャル「明日のマドレーヌ」の監督に抜擢され、好評を得る。自身初となる長編作品『Heart Beat』(12)が、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012長編部門に正式ノミネート。