国際コンペティション 短編部門
短編 ③ (合計87分)
はりこみ/Harikomi
<2017年/日本/28分>
巧みな会話術で繰り広げる、
上質な密室シチュエーション・コメディ。
深夜の住宅街で、3人の刑事が重要参考人を追って車で張込みをしている。無神経な若手刑事、面倒くさい女刑事、上司を気にする中堅刑事が、退屈な時間を潰すために取り留めのない話を続けている。
© FUNNY FOR
監督:板垣雄亮
出演: 池田香織、鳥谷宏之、板垣雄亮、鶴町憲
<解説>
原作は舞台脚本として作られた、ユーモア満載の会話劇。3人の刑事による、取るに足らない車中の会話がコミカルに描かれている。監督は、劇団殿様ランチを主宰する板垣雄亮。長年舞台で培ってきた板垣監督の脚本力は、張込み中の車内というワンシチュエーションで、最初から最後まで「何も起こらない時間」にも関わらず、観る者の笑いを誘う。女刑事を演じる池田香織は、藤井道人監督の『名もなき一篇』(14)で主人公の一人を演じるなど、着実にキャリアを積んでいる。張込み中の夜食にアンパンとお茶を買ってくるKYな後輩刑事演じる鳥谷宏之もまた、CM・舞台・映画と幅広く活躍中。2017したまちコメディ映画祭観客賞受賞作品。
監督:板垣雄亮
1973年東京都生まれ。俳優として演劇・TVドラマ・映画・ナレーションなどで幅広く活動する一方、自身の脚本・演出で劇団「殿様ランチ」の代表も務める。本作が初監督作品。
東京彗星/TOKYO COMET
<2017年/日本/29分>
兄と離れたくない弟と、
弟を守りたい兄の切ない家族の物語。
一年後、東京に彗星が衝突すると発表された。ショウは、兄と暮らしていたが、自暴自棄になった兄はショウだけを学童疎開させることに。ショウは兄と一緒に行きたがるが、結局ショウだけが岩手へ向かう。
©MOON CINEMA PROJECT
監督:洞内広樹
出演:大西利空、篠田諒、榎本”CHAMP”光永
<解説>
突然の災害予告の中で自分を見失う若者が、彼を慕う弟と、被災仲間のトラック運転手のおかげで再生していく物語である本作は、短編映画の制作から配給までをサポートするスカラシッププロジェクト・MOON CINEMA PROJECTの第二弾制作作品。電通クリエーティブXにてCMディレクターとして活躍している洞内広樹監督による映像は、CGやVFXが惜しげもなく使われていて見応え十分。彗星を避けて学童疎開させられる弟役を、山下敦弘監督による『ぼくのおじさん』(16)で松田龍平の甥役を演じた大西利空、絶望から這い上がっていく兄役を昨年の本映画祭で奨励賞を受賞した『追憶ダンス』(16)主演の篠田諒が演じている。
監督:洞内広樹
フィルム・ディレクター/スクリーン・ライター。1985年神奈川県生まれ。法政大学卒業後、電通クリエーティブXでフィルム・ディレクターとしてのキャリアをスタート。CFやMV、ショートフィルムのディレクターとして東京を拠点に活動中。
ふっかつのじゅもん/Eternal Hoimi
<2017年/日本/30分>
新人マネージャーと落ち目タレントの
ドタバタ・エンターテインメント。
就活に失敗し、渋々ながら芸能事務所に就職した芽衣は、元人気子役で、今では仕事ゼロの日比谷静の担当になる。そんな二人に舞い込んだ地方営業。ワガママな静を連れ、嫌々仕事に向かう芽衣だったが…。
©Taro Shirai
監督:白井太郎
出演: 佐伯亮、林田さくらこ、豊原功補(特別出演)、黒島結菜、大西利空
<解説>
日本大学芸術学部の卒業制作として制作された本作。かつての人気を取り戻したい子役上がりのタレントと、希望とは異なる仕事で不満だらけのマネージャーの成長物語を丁寧に描いているのは、現在制作会社で活躍中の白井太郎監督。学生の卒業制作の域を超えた豪華な役者陣が目を見張る。元人気子役・日比谷を、モデルとして活躍後、CM・ドラマに活動の場を広げた佐伯亮、彼を叱咤激励しながら自身も成長していくマネージャー・芽衣を林田さくらこが演じ、地方のイベントプロデューサーを豊原功補、その娘を黒島結菜、そのほか、大西利空、草刈民代、松本伊代などベテラン俳優たちが脇を固める。
監督:白井太郎
1995年生まれ、東京都出身。高校生の時から映画業界に憧れ、日本大学芸術学部映画学科に入学。在学中から映像制作を始める。本作品は同大学の卒業制作作品であり、監督として二作目にあたる。現在は制作会社に勤務。