【デイリーニュース】 7月13日(土)
vol.03 『アメリカから来た孫』チュー・ジャンタオ監督Q&A
「北野武監督のストーリーの描き方に惹かれるんです」
チュー・ジャンタオ監督
昨日オープニング作品『燦燦-さんさん-』の上映と共に開幕したSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013。いよいよ今日から長編部門(国際コンペティション)の上映が始まった。ここで上映されるのは80の国と地域、502本の応募作の中から選出された12作品。そのトップを飾ったのが中国の『アメリカから来た孫』だ。
中国の田舎に暮らす元影絵師の老人の家に、しばらく会っていなかった息子がアメリカ人の恋人とその連れ子を伴って帰って来る。息子とその恋人は戸惑う老人に幼い連れ子の少年を無理やり預け、遠い地へ仕事に出かけてしまう。言葉も通じず、食べる物も生活習慣もまるっきり違う少年と老人は互いに苛立ちを募らせるが、やがて2人の間に本物の祖父と孫のような絆が生まれていく……。
のどかな田舎の風景と影絵の映像も美しいこのドラマは、チュー・ジャンタオ監督の長編監督デビュー作。上映後のQ&Aで、チュー監督は、作品が生まれたきっかけを「甥っ子が生まれて、おじいちゃんの嬉しさや、おじいちゃんと孫の交流を羨ましく思ったこと」だったと語った。
とはいえ、劇中の老人と少年はなかなか打ち解けず、心が通じ始めても大げさにそれを表現したりはしない。ハートウォーミングなお話でもベタベタしない、その作風に影響を与えた人として、チュー監督は日本の映画作家の名前を挙げた。
「私は北野武監督が大好きで、作品はほとんど見ています。彼のストーリーの描き方に惹かれるんです。子どもを撮るのは難しいですが、豊かな表情より、自然な動きや動作で彼の気持ちを表現できたらと考えました」。
また、本作の製作総指揮には、『盗馬賊』や『青い凧』などで世界的に高い評価を得ている監督、田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)が名を連ねている。
「北京電影学院時代に教わった先生で、10年前に短編を撮った時には作品を気に入って連絡をくれました。それ以来、先生として、友人としてサポートしていただいています。今回、ストーリーを読んだ田監督がCCTV(中国中央電視台)に紹介してくれ、製作にも関わってくれたおかげでこの映画が実現したのです」。
映画を撮りたいという長年の夢が、36歳にしてやっと実現したというチュー監督。「これからもこの大好きな仕事を続けていきます。他の仕事はできないし、やりたいとも思いません」と、強い決意を訴えた。
『アメリカから来た孫』の次回上映は、17日(水)14:00から映像ホールにて。