【デイリーニュース】 7月14日(日)
vol.13 「短編(2)」Q&A
『カリカゾク』『転校生』『オレンジ』
左から『転校生』の藤原倫己、増田璃子、森川葵、金井純一監督、『カリカゾク』の岡本裕輝、塩出太志監督
短編コンペティション部門「短編(2)」の3作品『カリカゾク』『転校生』『オレンジ』は、スタイルこそ全く違うが、それぞれ人と人との微妙な関係性や距離感を鮮やかに写し撮った作品だ。
『カリカゾク』は、真面目だと思っていた父親のヘンな性癖、母親の不倫を知ってしまった高校生の広子が、家族を元の姿に戻そうと奇想天外な作戦を実行するブラック・コメディ。塩出太志監督は、「『壁女』という短編映画に主演していた仁後亜由美さんを見て、彼女で何か面白いものを作りたいと思ったのが作品のきっかけです。登場人物のキャラクターが多少濃くて、皆さまに受け入れられるかとても心配だったんですが、笑いが生まれてとても嬉しかったです」と話した。
『転校生』は、クラスで孤立してしまっている容子と、はじめから周囲に打ち解ける気のない転校生・リサが、互いに「ついてくんなよ」と言いながらも心を通わせていく繊細なタッチのドラマ。
金井純一監督は「(主演の)森川葵さんと増田璃子さんをオーディションで見ていて、この2人で短編を撮ろうということになり、2人のために脚本を書きました。作品では触れていませんが、震災のあと、出会ってすぐ別れるということが学校でも多くあっただろうな、という思いもありました」と言う。ちなみに金井監督は初の商業作品『ゆるせない、逢いたい』(出演:柳楽優弥、吉倉あおい)が11月に、森川葵さんは初主演作『スクールガール・コンプレックス 放送部篇』(監督:小沼雄一)が8月に劇場公開予定。今後の活躍が大いに期待される。
『オレンジ』は、震災後1人で仮設住宅に暮らす男が、フィリピンにいる妻と娘を探す旅に出る物語。松井雅也監督は、この日の上映には参加できなかったが、「本作品は、東日本大震災で被災した気仙沼の仮設住宅の住民の方のご協力で制作しました。震災から2年を経た今も被災地の復興は進まず、仮設住宅の方の心労を解消する目処も立っていません。この映画は、被災地以外にお住まいの方々に少しでも被災者の心労を理解し、共感していただけるよう、また被災者の方を少しでも元気付けられるようフィリピン人監督であるロメル・トレンティーノとともに製作しました」とメッセージを寄せた。
「短編(2)」は次回、17日(水)10:30から映像ホールで上映される。