【デイリーニュース】 7月15日(月・祝)
vol.16 『オールディーズ・バット・ゴールディーズ―いま、輝いて―』イジー・ストラフ監督Q&A
「主演の2人は元夫婦のチェコの名優。30年振りに共演しています」
長編コンペティション出品作『オールディーズ・バット・ゴールディーズ―いま、輝いて―』は、年を取ってなお夢を追い輝き続けようとする男女を、時にユーモラスに、時にビターに描くチェコのドラマ。
元高校教師のオタは、息子夫婦の世話になる今の生活に満たされないものを感じている。目の手術を控え、若い頃からの憧れの女優ヤナに一目会っておきたいと思い立ったオタは、田舎の老人ホームにいる彼女を訪ねる。一方、ホームで厄介者扱いされているヤナは、久々に誘われたオーディションを受けるため、施設を抜け出してプラハに向かおうとしていた。こうして合計年齢150歳以上の2人の逃避行が始まる!
ヤナを演じたイジナ・ボフダロヴァーと、オタを演じたラドスラフ・ブルゾボハティーは、チェコでは知らない人はいない著名な俳優2人だと、イジー・ストラフ監督は説明する。
「2人は60年代に数多くの映画で共演し、その後結婚した国内では最も有名なカップルでした。しかし数年後に破局を迎え、それ以降30年もの間、互いに共演することを拒んでいたんです。私が駄目もとで出演を依頼して、2人の共演が実現しました。もし断られていたら、この映画は存在していません。映画の公開から半年後にラドスラフは亡くなりましたが、イジナにはこの映画がきっかけで彼と和解できたと感謝されました。そんな彼ら自身の関係性が、映画にも良い影響を与えていると思います」。
そんなドラマチックな話が映画の背後にあったとは! それを知って見ると、“私は女優よ”と言わんばかりの高慢な態度のヤナと、自分の姿勢を崩さない頑固なオタの丁々発止のやりとり、そして次第に本音を語り始める様子が、一層味わい深く感じられる。
「チェコでは、高齢者の問題が社会の大きなテーマになっています。老人ホームは費用が特に高いわけでも、数が足りないわけでもありませんが、高齢者がただ死を待つだけの場所になってしまっているのが現状。映画を通して、若者たちにはこうした問題にもっと目を向けてもらいたいと思いましたし、お年寄りにはいくつになっても希望は持てることを訴えたかったのです」。
『オールディーズ・バット・ゴールディーズ―いま、輝いて―』は次回、19日(金)11:00から多目的ホールで上映される。