【デイリーニュース】 7月18日(木)
vol.27 Go-all『埼玉家族』キャスト&監督舞台挨拶
鶴見辰吾と伊藤かずえが26年ぶりに共演!「家族ってあったかいものなんだなと思いました」
(左から)福山功起監督、森田涼花、加瀬聡監督、伊藤かずえ、角川裕明監督、鶴見辰吾、完山京洪監督、大野拓朗
埼玉県(SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ)が若手映像クリエイターを支援するプロジェクト「GO-all」と、映画会社の松竹が、「家族」をテーマに共同で製作したオムニバス映画『埼玉家族』が完成し、各作品の監督とキャストが舞台挨拶に揃って登壇した。
埼玉に住む山下家はありふれた普通の4人家族。しかし一見平和な両親と子どもたちはお互いに秘密を持っていた。厳しかった亡き親の意外な一面を知って戸惑う父、謎の女に荷物を奪われ家に帰れなくなった専業主婦の母、同棲していた彼女に出て行かれ人生の岐路に立たされる長男、いじめられっ子のクラスメイトと触れ合ったことで本当の自分を取り戻していく長女、その一人一人が過ごした3日間を通して現代の家族のあり方を描く。
一話目の『ハカバノート』からは福山功起監督と、長女の若葉を演じた森田涼花さんが来場。川口でロケした本作はつい最近撮影されたばかりで、この日初めて完成した作品を見た森田さんは「自分がこれだけ長く大きく映っているのをドキドキしながら見ていました」と感慨深そうにコメント。印象的なラストシーンについて「森田さんに全速力で走ってもらったのですが、転んで血を出させてしまうことになって、申し訳ありませんでした」と福山監督が謝ると、「小さい傷だったのでどうってことないです!」と女優魂を見せた。
二話目の『キャンディ』からは加瀬聡監督と、母親・優子を演じた伊藤かずえさんが来場。埼玉のみならず神奈川、東京、千葉にも足を伸ばしたロードムービー撮影は4日間という強行日程で行われたという。「移動が多くて大変だったけどスケジュール通りに撮り終えられると思っていました」と言う加瀬監督に、すかさず「たしかに4日で終わったけれど、その間ほぼ完徹(完全徹夜)でした!」とツッコミを入れた伊藤さんは、平凡な主婦の逃避願望を書いた台本をもらってぜひ演じたいと思ったというだけに、監督の演出に染まって楽しい現場だったと振り返った。
三話目の『父親輪舞曲(ちちおやロンド)』からは角川裕明監督と、父親・哲を演じた鶴見辰吾さんが来場。ミュージカル俳優でもある角川監督は「日本にはスタンダードなミュージカル映画がない」という思いから、それを作ろうと自ら歌って録音した劇中歌のデモテープを鶴見さんに手渡し猛アプローチ。監督の熱い思いに共感して出演を快諾した鶴見さんが「日本でミュージカル映画を演じるのはとても難しいことですが、それをどうお客さんに届けるかを監督はすごく考えている。普通の生活の中にミュージカルシーンを馴染ませた作風なので見やすかったんじゃないかな」と語ると、角川監督は「鶴見さんが“こういうのを待ってたんだよ……!”と言ってくださったのが嬉しかった」と喜びを露わにした。
四話目の『ライフワーク』完山京洪監督と、長男・タカシを演じた大野拓朗さんが来場。開口一番「撮影がすごく楽しかった」と声を弾ませた大野さんは「アットホームな現場で最初からリラックスして参加できました。それでいてスタッフはすごく熱くて、みんなが作品をより面白くしようと励んでいる場にいられたのが幸せでした」と感無量。完山監督いわく「大野君は驚くほど真面目で純粋なんですよ。その性格がよすぎるところをキャラクターにも生かしたいと思って、カメラマンアシスタントという仕事に向かうタカシの姿勢に反映させました」とのこと。「監督とはシーンごとに撮影前の打ち合わせをして、そのつど役の気持ちを擦り合わせていきました」(大野)「一緒に作ったことを実感できたよね」(完山)とチームワークの良さをうかがわせた。
また、最後に家族全員が揃うシーンで撮影当日に初めて顔を合わせた4人は、他のパートでそれぞれがどんなエピソードを演じてきたのかを知らずに現場入りしたそうが、鶴見さんと伊藤さんは26年ぶりの共演だったとか。全体のナレーションもつとめた森田さんは「一人一人の家族にいろんな事情があったんだなと、後から知ってビックリしました。(それぞれの事件を乗り越えてあらためて)家族ってあったかいものなんだなと思いました」と締めくくった。
なお、『埼玉家族』は10月12日(土)より新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX川口にて一般公開される。