SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015

ニュース

デイリーニュース

プレスリリース

来場ゲスト情報

スケジュール

上映作品

ニュース

【デイリーニュース】 vol.12 『短編③』Q&A

『あかべこ』『わたしはアーティスト』『虹の麓まで』

右から『あかべこ』の高橋秀綱監督、主演の佐野仁香さん、『わたしはアーティスト』の籔下雷太監督と主演の尾崎紅さん、『虹の麓まで』の高岡尚司監督と撮影の寺西昭博さん

 

 20日(月・祝)午後に多目的ホールにて行われた『短編③』の上映には、自らのアイデンティティを模索してもがき苦しむ主人公が、偶然出会った他者との交流のなかで成長し、活路を見出していく3つの物語がそろった。アイデンティティの確立という通過儀礼を、少女、女子高生、少年と立場の異なる主人公が必死に乗り越える様は共感を生み、胸を打つ。上映後にはQ&Aが行われ、『あかべこ』の高橋秀綱監督、主演の佐野仁香さん、『わたしはアーティスト』の籔下雷太監督と主演の尾崎紅さん、『虹の麓まで』の高岡尚司監督と撮影の寺西昭博さんが登壇した。

 

 『あかべこ』は、6歳の少女ミカを主人公に据えたハートウォーミングストーリー。母の出産のため、会津の祖父母宅に預けられたミカだったが、生まれてくる赤ん坊の話題ばかりで誰も相手にしてくれない。赤ん坊のお守りとして飾られたあかべこは、意地悪く首を揺らしている。状況に憤慨し気持ちの行き場がなくなったミカは家出を決意。あかべこを持ちだして家をあとにするが、雪道で奇妙な女に出会う。

 物語終盤、女の背中におぶさったミカが、ろうそくの灯りに照らされた幻想的な雪道を行くシーンが登場する。高橋監督は撮影には苦労したが、いちばん思い入れがあるシーンだと明かした。「『会津絵ろうそくまつり』というお祭りから絵ろうそくと燭台をお借りして撮影しました。しかし、陽が沈むまでの瞬間を撮影したので、20分くらいしかありませんでした。撮り直しがきかない長回しのため苦労しました。実は初日に撮影する予定だったんですが、吹雪いていたためろうそくに火がつかず、急遽、2日目の朝にロケハンを再度行い、新しいロケ地を決めて撮影しました。抜けに会津磐梯山が映っているので、ロケ地を変更してよかったと思っています」。主人公のミカを演じた7歳の佐野さんも、撮影時の苦労話を披露。「長靴のなかに雪が入ったり、裸足のときなどすごく冷たかったんですが、足湯に入ったんで気持ち良かったです」と愛嬌たっぷりに語り、会場は来場者の微笑みで包まれた。

 

 『わたしはアーティスト』は、ビデオアートの制作に自己表現を見出した女子高生、沙織の物語。他人とコミュニケーションを取るのが苦手な沙織は、誰もいない放課後の学校で独り、ビデオアートの制作に没頭していた。しかしある日、その姿をクラスメイトに見られてしまう。

 自らの体験を映画に反映したという藪下監督。「最初は自分自身の話をやろうと思っていました。アーティスト気取りの男の話ですね。しかし、ちょっと書けなくなってしまって、男女を入れ替えてみたところ、スラっと書けました。男女を入れ替えても、自分の話ではあります。脚本段階ではコメディっぽく書いていたんですが、撮っているうちに主人公に共感してしまい、シリアスも混ざってしまったかな」と自作を分析しつつ、あくまで自分の話であることを強調した。主演の女子高生を演じた尾崎さんも作品を振り返り、「私以外のキャラクターが面白いなと思います。私ももうちょっとできたなと、反省しています」と遠慮がちに目を伏せた。しかし、劇中の告白シーンに関して触れられると、「(相手を)ぜんぜん好きではなかったので、歩いてくるところでも、彼が面白くて……。本当に好きな相手を(手に持ったビデオカメラの画面に)映しながら告白しました。すみませんっ!」と裏話を暴露、会場を盛り上げた。

 

 『虹の麓まで』は、悩みを抱えるソフトボール少年のプチロードムービー。少年は親戚のおじさんとともに、四国八十八カ所霊場第十二番札所焼山寺を目指していたが、自分の気持ちを理解してくれないおじさんに腹を立てて、逃げ出してしまう。

 「少年は僕自身を投影したもの」と、高岡監督は製作に至った思いを熱く切り出した。「僕自身小学校からソフトボールをやっていました。あの少年は本当に自分なんです。小学校のときにすごく悩んでいたんですが、大人になって四国八十八カ所をまわったんですね。その時に生きている事自体がありがたいことだと気がつきました。この、『生きている事自体がありがたい』ということを、もっと前から、小学校のときから知っていれば、自分の人生はもっと変わったんじゃないか、という思いで話を作ろうと思いました」。撮影の寺西さんは、本作の撮影は天候との戦いであったと振り返る。「2日間、撮影を見込んでいたんですが、次の日に台風が来ることがわかりました。最初は順撮りという話をしていたんですが、それは無理だろうと。朝3時に大阪を出て、明石海峡をわたり、徳島に入って、とにかく脚本を埋めようと撮っていきました。良いかどうか分からないんですが、勢いだけはあるんではないでしょうか」。駆け足での撮影となったものの、それを感じさせない本作。その理由を尋ねられた高岡監督は、「本読みや打ち合わせを撮影の前からずっとやっていたので、現場は慌ただしかったけれども、迷いなく撮影できたと思います」と自信を持って答えてみせた。

 

 次回の『短編③』は、7月23日(木)午後5時から映像ホールで上映される。『あかべこ』の高橋監督とキャストの富山えり子、『わたしはアーティスト』の籔下監督とキャストの高根沢光のQ&Aも予定されている。


サイトマップ

ニュース
・お知らせ一覧
・デイリーニュース
映画祭について
・開催概要
・賞構成
・本年度審査員
・アーカイブ
上映作品
・上映作品一覧
・長編コンペティション部門
・短編コンペティション部門
・アニメーション コンペティション部門
・オープニング上映
・シネマ歌舞伎
・長編アニメーション上映
・バリアフリー上映
・サテライト上映
・来場ゲスト情報
関連企画
・SKIPシティ夏祭り
スケジュール
・タイムテーブル
チケットグッズ
映画祭ガイドPDFダウンロード
アクセス
・アクセスマップ
・会場案内図
プレス・業界関係者の皆様へ
・プレスリリース
・プレスの皆様へ
・映像業界関連の皆様へ
サイトについて
・プライバシー・ポリシー
・お問い合わせ
関連リンク
・SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ
・映像ミュージアム
・SKIPシティチャンネル
 
TOP