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【デイリーニュース】 vol.14 『短編④』Q&A
『ぼくらのさいご』『Keshinomi』『ガラスの園で月を食らう』
写真右から『ぼくらのさいご』の石橋夕帆監督、主演の堀春菜さん、『Keshinomi』の平林勇監督、袋康雄プロデューサー、『ガラスの園で月を食らう』の相馬寿樹監督
短編部門(国内コンペティション)の最終組となる『短編④』では『ぼくらのさいご』『Keshinomi』『ガラスの園で月を食らう』の3作品が上映され、終映後は各作品の監督と出演者、製作者がQ&Aに登壇した。
『ぼくらのさいご』は、中学生最後の夏を過ごす幼馴染みの少年と少女の心の揺れを、繊細にすくい取った作品。石橋夕帆監督は、音楽を担当した佐野千明さんのファンだったそうで、「佐野さんの世界観に合う映画を作りたいというところから始まりました。タイトルには、中学3年生の夏、無邪気だった時間が終わるかもしれない、そして悦子と夏樹の幼馴染みの関係が終わって新しいものになるかもしれない、という意味合いも込められています」と話す。悦子を演じた堀春菜さんは、「監督には最初から日常の映画を撮りたいからと言われていたので、セリフを言うことより空気感や間、アドリブなどで自然な感じを出そうとしました」。
『Keshinomi』では、流産したばかりの妊婦と看護師、障害を持つ孫と雪深い山に入ろうとする老人、それぞれのシーンが交互に綴られ、見る者に深い印象を残す。映画に救いがない、と指摘された平林勇監督は、「世の中は実際ハッピーエンドばかりではありませんし、救いのない映画があることで幸せや平和を求める気持ちを感じることはあると思います。物語が何か答えを出すというより、あの話は何なんだろうと考えるきっかけになれば」と話す。プロデューサーの袋康雄さんは、「タイトルは法話にあるお釈迦さまと芥子の実の話から取っています。いわゆるメッセージはない。頭で考えるより命というものを感じていただければと思います」。
『ガラスの園で月を食らう』は、小学校の教室で飼っていた金魚がいなくなったことをきっかけに、クラスの2人の少年が心を通わせていく躍動的な作品。ワークショップ型のオーディションを行い、役の本質そのものを持った少年をキャスティングしたと言う相馬寿樹監督は、「今の環境から解放されたいという希望の切なさを描いています。そこに無垢で残酷なエネルギーが自発的に募っていく様子を表現しました。映画の最後、結末を観客のみなさんに向って投げ放っています。見て下さった方がそれぞれ感じたように解釈していただければと思います」。
次回の『短篇④』の上映は、7月23日(木)午前10:30から映像ホールで行われる。『ぼくらのさいご』の石橋監督、『Keshinomi』の平林監督、『ガラスの園で月を食らう』の相馬監督のQ&Aも予定されている。