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【デイリーニュース】 vol.15 『スウィング!』 チャバ・ファゼカシュ監督 Q&A
「俳優のための映画を作りたかった」
『スウィング!』のチャバ・ファゼカシュ監督
ハンガリーからやってきた痛快音楽ガールズ・ムービー『スウィング!』。息子を連れて歌手の仕事を求め首都ブタペストへやってきたケイト。美声ながらオーディションに出る勇気がないアンゲラ。長年連れ添ってきた夫の浮気が判明したリタ。偶然出会った彼女たちはジャズ・グループを結成し、地方巡業の旅に出るが……。
上映終了後にチャバ・ファゼカシュ監督が登壇し、Q&Aが行われた。
「ゴージャスだけどゴージャス過ぎず、リアリティを醸し出しつつ、なによりも人間の感情をきちんと描いたエンタテインメントドラマになるよう心がけました。また、監督によっては『映画とは監督のもの』と考える人もいるけれど、自分の場合は俳優のための映画を作りたかった」と監督は訴える。
「主演の3人の女優たちのそれぞれの魅力を最大限に引き出したかったのです。中心となるケイト役のエステル・オーノディは本国で大人気の女優で、経験の浅いアンゲラに扮したフランツィシュカ・トゥルーチクは、実際に本作が長編デビューとなりました。また専業主婦から歌手業へと転身したリタを演じたエステル・チャーカーニは舞台女優で、今回が久々の映画出演となりました。そして、伝説の歌手エミリー役のマリ・トゥルーチクは、ハンガリーが誇る大女優で、美しい歌声も披露してくれました。彼女たちの魅力と美しさを感じ取っていただけたらうれしいです」
同世代の3人組ではなく、若者・中年・初老と、異なる3世代のトリオにした狙いは? という質問に「最初は50代女性3人組という構想でした」と監督は打ち明けてから続けた。「ですが、同じひとつの世代よりも、3人それぞれ違う世代にした方が物語として多様性が出るし、個人の悩みや、彼女たちが置かれた状況も、年代によって変わってきます。それによって、あらゆる世代の観客の皆さんから、共感してもらえるのではないかと思いました」
ハンガリーのエンタテインメント産業やLGBT事情なども垣間見える細やかな演出に、「映画に出てきたショークラブを教えてください」という質問までが飛び出た。
「あれは撮影用に特別に作ったセットで、実在しないんです。すみません。でも、もしもご興味がおありでしたら、ハンガリーでお勧めのショークラブを教えますよ(笑)」と、尽きせぬ笑顔で質疑応答を締めくくった。
『スウィング!』は、7月25日(土)にも14:00から映像ホールにて上映され、終了後にはファゼカシュ監督のQ&Aも予定されている。