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【デイリーニュース】 vol.13 短編①『Birth-おどるいのち-』『ヴィニルと烏』『予定は未定』 Q&A
出産と育児、いじめ、結婚。監督と出演者が語る、それぞれのテーマへの想い
(右から)『Birth-おどるいのち-』の若見ありさ監督、池田爆発郎監督、大橋弘典監督/『ヴィニルと烏』の横田光亮監督、宮田佳典、守谷周人、野島健矢/『予定は未定』の磯部鉄平監督、屋敷紘子
国内コンペティション短編部門『短編①』は、出産と育児をテーマにしたドキュメンタリー・アニメーション3編から成るオムニバス『Birth-おどるいのち-』、いじめの問題に真正面から取り組んだ『ヴィニルと烏』、アラフォー独身女性の焦りをリアルにとらえた『予定は未定』の3作品。Q&Aには、『Birth-おどるいのち-』の若見ありさ、池田爆発郎、大橋弘典の3監督、『ヴィニルと烏』で監督・主演の横田光亮と共演の宮田佳典、守谷周人、野島健矢、『予定は未定』の磯部鉄平監督と主演の屋敷紘子が登壇した。
『Birth-おどるいのち-』は、昨年のアニメーションコンペティション部門で上映された『Birth-つむぐいのち』に続くプロジェクトの第2弾。企画・総合監督を務め、『ととちゃんがママのおなかにきてたくちゃんが生まれたときのこと』を演出した若見監督がその意図を説明する。
「前回は出産した女性の目線だったけれど、出産は女の人1人だけではできない。旦那さんやおじいちゃん、おばあちゃんに支えられて、いろいろなドラマがある。だから男性の目線が入った客観的なものや、文化や宗教、食べ物が違う中での大仕事である海外での出産を取り上げました」
『トルコで出産』は、トルコで出産した日本人女性を、同国のコミュニティを通じてインタビューした中からピックアップしたエピソード。メガホンを託された大橋監督は「掃除のおばちゃんが(分娩室に)入ってきて手を握るなんて、本当にあるのかなと思いながら、そんなゆるい感じだったら楽しいだろうなと思いながら作りました」と振り返る。
「あまりマジメなものは作れないと言ったけれど、大丈夫だということだったので」と、自身の体験を描いた『h-h-f』を手掛けたのは自称“カリスマイクメン”の池田監督。劇中歌も自ら作詞し、「奥さんにインタビューしてプロットに起こしていきながら、ここにこの曲、ここで2曲目と入れていったら、ミュージカルというかミュージックビデオ風になっちゃいました」と笑顔で明かした。
『ヴィニルと烏』が初監督作品で、いじめられる学生役を自ら演じた横田監督は「大勢に向けて観てもらえる映画ではないかもしれないが、同じような境遇の人に何かひとつでも伝わればと思う」と真摯に語った。ラストシーンとエンドロールの描写に関しては、観客から「分からない」の声も挙がったが、「別の終わり方も考えましたが、持って帰ってそれぞれで考えてほしいという僕なりのメッセージです」と言葉に力を込めた。
「生々しさを意識した」という横田監督は、実際に殴られるなど俳優としても体を張った熱演を見せており、宮田は「かなり体を削ったと思う」と感嘆。野島にいたっては、「こんなにもストイックになれるのかというくらい。そのまま死んじゃうんじゃないかと思って心配した」ほどだったという。
2016年の本映画祭でSKIPシティアワードを受賞した『見栄を張る』の助監督だった磯部監督は凱旋を果たし、「帰って来られて光栄です」と満面の笑顔。『予定は未定』は、制作部で参加していた2015年『コントロール・オブ・バイオレンス』(石原貴洋監督)のヒロインだった屋敷に一目ぼれし、脚本を当て書きした渾身の一作だ。
「年齢も近くて、休憩時間にいろいろな話をして魅力的な人だと思った。いつか映画を撮りたいという話をしたら『撮るなら出るよ』と言ってくれたので、社交辞令と思いながらも撮れることになって即行で電話しました」
対する屋敷も、磯部監督には一目置いていたと述懐。「短編をすごく拝見していて、本当に撮る時には参加したいと思っていたので二つ返事でした」と相思相愛をアピールした。
『短編①』の次回上映は、7月19日(木)14時30分から行われ、監督、出演者によるQ&Aも予定されている。