2018 総括
節目となる第15回を迎えたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018は、7月13日(金)~22日(日)の10日間、埼玉県川口市のSKIPシティほかにて開催され、メインであるコンペティション上映に加え、15周年特別企画などの特集上映も実施し、記念回にふさわしい充実したプログラムで開催されました。
本年のオープニング作品は、15周年を記念して開催地・川口市が製作した『君がまた走り出すとき』を上映しました。日本人男性として初めて世界6大マラソンを走破した実在の人物・古市武さん(川口市在住)の生き方に感化され、マラソンを始めることで、人生と向き合う人々を描いた本作。上映後の舞台挨拶には、本作で長編デビューとなった新鋭・中泉裕矢監督と、出演の寛 一 郎さん、山下リオさん、菜 葉 菜さん、辻本祐樹さん、綱島恵里香さん、長谷川初範さん、松原智恵子さんが登壇し、華やかに映画祭の幕開けを飾りました。
コンペティションは、15回目を迎えるに当たり、「若手映像クリエイターの登竜門」としてより一層の強化を図るべく、部門構成を国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)の2部門3カテゴリーに刷新しました。本年は過去最多となる98の国と地域から、合計832本の応募があり、その中から厳正な審査によって選ばれた国際コンペティション10本、国内コンペティション長編部門4本、同短編部門9本を上映。上映に合わせ、国内外から監督やプロデューサー、出演者などゲストも多数来場。観客の皆様からの質問に直接答えるQ&Aに登壇して映画祭を盛り上げました。
さらに、新会場として川口市内のMOVIX川口が加わり、国際コンペティションノミネート作品とオープニング作品の上映が行われ、連日多くの観客で賑わいました。
15周年特別企画では、それぞれに特色のある3つの特集を開催しました。「飛翔する監督たち from SAITAMA」では、現在日本映画界の第一線で活躍する埼玉県出身の映画監督4名(石井裕也監督、入江悠監督、沖田修一監督、𠮷田恵輔監督)にスポットを当て、彼らの話題作を上映。上映後にはトークイベントも開催しました。「名匠たちの軌跡」と題した特集では、黒澤明、ミヒャエル・ハネケ、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンといった、映画史に名を刻む古今東西の巨匠を追ったドキュメンタリー3本を特集。スクリーンでは殆ど観ることのできない作品が揃った貴重な機会となりました。「怪盗グルーシリーズ一挙上映」では、大人から子どもまで大人気のキャラクター「ミニオンズ」が活躍する世界的大ヒットアニメシリーズ3作品を上映しました。
また、毎年恒例のバリアフリー上映では、佐藤健さん、土屋太鳳さん主演の大ヒット映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』を日本語字幕・音声ガイド付きで上映しました。
その他関連企画では、海外の映画祭でも注目を集めている日本のVR(バーチャル・リアリティ)作品を上映した「VR上映」や、SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザを拠点に活動するクリエイターの制作作品を上映した「メイド・インSKIPシティ」、地元川口市の「川口子ども映画クラブ」が制作した映画や、小学生がTV番組作りにチャレンジした映像学習プログラムから傑作選を上映した「カメラクレヨン」、赤ちゃん連れでも気兼ねなく映画を楽しめる「ママ・シアター」といった多種多様な企画を開催しました。
最終日の7月22日(日)にはクロージング・セレモニーが開かれ、コンペティションの各賞が発表・授与されました。国際コンペティションでは、アンドレア・ライズボロー主演の『ナンシー』(アメリカ/クリスティーナ・チョウ監督)がグランプリを受賞。国内コンペティション長編部門は『岬の兄妹』(日本/片山慎三監督)、同短編部門は『予定は未定』(日本/磯部鉄平監督)がそれぞれ優秀作品賞を受賞しました。また、国際コンペティション、国内コンペティションを通じた日本作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して授与するSKIPシティアワードには、『彼女はひとり』(日本/中川奈月監督)が選出されました。
盛況のうちに幕を閉じたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018の総来場者数は、51,229名となりました。本映画祭は、これからも新たな才能を発掘する若手映像クリエイターの登竜門として、また映画の多様性を広く体験していただける映画祭として、より一層の発展を目指してまいります。