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【デイリーニュース】Vol.18 特集「SKIPシティ同窓会」『さがす』片山慎三監督 トークイベント
演出家として一本立ちできたのはSKIPシティのおかげ
『さがす』片山慎三監督
映画祭の20周年を記念して、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭をきっかけに羽ばたいていった監督たちを特集する「SKIPシティ同窓会」が7月19日(水)にスタート。トップバッターとして片山慎三監督の2022年『さがす』が多目的ホールで上映された。
片山監督は、自主制作した『岬の兄妹』を2018年の国内コンペティション部門に出品。「完成した時に海外の映画祭と同時に国内の映画祭をどうしようかと思っていたら、たまたまSKIPシティ国際Dシネマ映画祭の締め切りの時期だった」という理由での応募。その年から国際コンペと国内コンペに分かれ、「国際コンペに入れなかったので、じゃっかんへこんだ」という。だが、見事に優秀作品賞と観客賞をダブル受賞した。
さらに、「最速最短全国劇場公開プロジェクト」という劇場公開を支援する作品にも選ばれた。これがスマッシュヒットを記録し、「お金が少し入ってくるようになって、助監督をやらずに済むようになった。その後、ドラマや映画の仕事を続けてやっていけているのはSKIPシティのおかげだと思っている」と感謝した。
『さがす』も、『岬の兄妹』を見た山野晃プロデューサー(アスミック・エース、当時)に声をかけられ、「オリジナルがいい」というリクエストで生まれた商業映画デビュー作。「指名手配中の連続殺人犯を見た」という父親がその翌日に失踪し、娘が真相に迫っていくサスペンスで、佐藤二朗、伊東蒼らが出演している。当初のプロットでは全てを娘の視点で描いており、脚本家の小寺和久、高田亮両氏が加わっての脚本づくりで父親からの視点などが生まれていった。「自分が考えていたものとは別の方向性だったが、商業映画では自分にない部分を引き出さなければいけないと勉強になった」と振り返る。
撮影では、「プロの現場もインディーズの現場もやっていることは変わらない。自分のやり方は通用する」という信念の下、脚本に書かれた土地でのロケにこだわった。そして、22年の映画賞を席巻し、日本映画監督協会の新人賞も受賞したが、「助監督を10数年やっていたので、新人という感覚がなくてすごく恐縮」と照れた。
現在は、内田英治監督とダブル監督の『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』が公開中。Disney+では『ガンニバル』が配信中だ。台湾で撮影した作品も来年以降の公開を控え、「まだ言えませんが、配信ドラマ(の撮影)、やっています」とリップサービス。片山監督の活躍ぶりから、ますます目が離せなくなってきた。
特集「SKIPシティ同窓会」としては、7月20日(木)17時から映像ホールで『Noise ノイズ』が2017年長編部門にノミネートされた松本優作監督の『Winny』が、7月21日(金)11時から多目的ホールで『ハリヨの夏』が2006年長編部門にノミネートされた中村真夕監督の『ワタシの中の彼女』が、7月21日(金)13時50分から映像ホールで『ロマンス・ロード』が2013年長編部門SKIPシティアワードを受賞したまつむらしんご監督の『あつい胸さわぎ』が、7月21日(金)17時30分から多目的ホールで『チチを撮りに』が2012年長編部門監督賞とSKIPシティアワードを受賞した中野量太監督の『浅田家!』が上映され、ゲストによるトークショーが予定されている。