7月15日(日)
『短編(2)』Q&A 『HOME』『恋する小説家』『煙の薫』
(左から)『HOME』岩佐恵監督、佐々木洸介監督 『恋する小説家』上田慎一郎監督、出演の葛上昇悟さん、『煙の薫』岡元雄作監督、主演の成澤優子さん
短編コンペティション部門『短編(2)』の3作品『HOME』 『恋する小説家』『煙の薫』は、どれも女子高生が主人公だ。戸惑い、決断し、新しい世界へと踏み出していく若者を、それぞれのアプローチで表現した監督と出演者たちが作品に込めた思いを語った。
母の死を乗り越えようともがく娘と父の心を印象的な光の演出で綴った『HOME』。ゼミで結成したチームの卒業制作として撮影された。
「プロットを何度も変えました。テーマに物語が殺されないよう、脚本が出来上がってから、『自分たちは何が言いたかったんだろう』と一所懸命考え、議論しました」と共同監督の佐々木洸介・岩佐恵両氏。
母の死を経て父と絆を結び直す親子の物語は、親の庇護から離れて独立していく卒業と重なっているようだ。
なかなか芽が出ずに恋人からも見捨てられてしまうミステリー作家志望の青年が、自分の書いた小説の主人公に振り回されながら夢を取り戻していくコメディ『恋する小説家』。
上田慎一郎監督が、以前何本も脚本を抱えて行き詰まっていた時、誰か出て来て助けて欲しいなあと思ったことが、アイデアの元になっているという。「で、どうせ出てくるなら、女子高生がいいなあ、と」。
監督自身、観客として参加していたこの映画祭に、「次は監督として参加したい!」という夢を叶えての登場である。
自分の思いをなかなか言葉にできず、煙草の吸い殻を拾い集めて不安定な日常のバランスをとる少女の心情を巧みに描きだす『煙の薫』。
はじめ、人が噛んだチューインガムを集める女子高生という設定で撮ろうとしたようだが、それはあまりにも気持ち悪いだろうということで変更した。
岡元雄作監督は語る。「人間の弱さがテーマです。強い人の裏側にも弱さがある。人間の弱さを突き詰めていきたい。それにこだわっています」
『短編(2)』は、19日(木)10:30から映像ホールでも上映される。