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7月17日(火)
『真実の恋』ディヴェケ・グレイバーAP Q&A
「子ども向け映画にはダイバーシティが必要です」

アシスタント・プロデューサーのディヴェケ・グレイバー氏


 長編コンペティション部門の『真実の恋』は、ノルウェーの自然豊かな町に暮らす10歳のアンナを軸に、子どもたちの恋愛模様を綴った作品。「変人」と呼ばれるアンナは男勝りのスレンダーな少女。周囲が恋愛に目覚める中、マイペースを貫こうとしている。そんなある日、仲間内で評判のおばけ屋敷「ヘルガの家」に越してきた少年ヨルゲンに一目惚れ。恋に目覚めたアンナは「恋に狂って父親に殺された」というヘルガの物語と自身をなぞらえながら、ヨルゲンをめぐる恋の戦いをスタートさせる。


 「愛してる」と臆面もなく口にする子どもたちの、時に純粋で時に残酷な恋愛戦争。本作の原作となったノルウェーの児童文学作品は、1984年の出版以来ロングセラーとなっている名作だ。アンネ・セウィッツキー監督と今回Q&Aに登壇したディヴェケ・グレイバー アシスタント・プロデューサー(AP)も、「子ども時代に大好きだった本」と語っている。ほのかな恋心ではなく「恋人になる、ならない」と具体的に展開する恋物語は、大人の目からしてもかなり刺激的な内容だ。


 このような内容の作品が実写映画化される背景には、長年培われてきた、ノルウェーを含むスカンジナビア地方の、子ども向け実写映画や実写ドラマ制作の歴史がある。そのため子どもたちには鑑賞の習慣が根付いているという。

 「ハリウッドではない子ども向けのエンタテインメントを作る動きに関心が高いのです。最近では、もっと子ども向け映画に多くの資金を投入すべきだという話もあり、報道の政治面でもパブリック面でも関心を集めています。この映画を製作した会社も子ども向けジャンルに注力しており、今回製作を担当した部門のほか、ティーンエイジャー向け映画部門、3~6歳向けのTVシリーズ部門もあります」


 子ども向けとはいえ、もちろん大人の鑑賞も意図したいわゆる“通常の映画”だ。むしろ、子どもたちの直感的な思考の連続には目が覚める想いがするだろう。おりこうで聞き分けのいい子どもばかりが登場しないことも、子ども向け作品文化の層が厚い地域ならではといえる。

 「私自身は、子ども向け映画においてダイバーシティが必要だと思っています。大きな問題があったとしても、それだけではないものを描くのです。子どもの世界には多様性や広がりがありますから、その広がりのさまざまな面を子どもの視点から見せることが重要だと常に考えています」


 実際、本作の撮影中も出演した子どもたちがさまざまな物語を繰り広げたという。


 「子どもたちは極めて緊密なグループになり、ドラマチックな出来事が多数起こりました。作品での関係とは違っていますが、恋に落ちたり喧嘩をしたりとエピソードは尽きません(笑)。最終的にはみな仲良しになり、多くの時間を使ってこの作品に参加したことは、彼らにとって楽しい時間だったのではないかと思います」


 『真実の恋』は、21日(土)13:00から映像ホールでも上映する。

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