映画祭について
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭とは
“新たな才能を発掘する”若手映像クリエイターの登竜門
2004年に埼玉県川口市で誕生したSKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、世界中からエンターテインメント性とデジタルの新たな表現の可能性を感じる作品を公募し、次代を担うクリエイターを発掘することにより、新たな映像産業の発展に寄与することを目的に開催しています。
今や映画の新たなスタンダードとなったデジタルシネマにいち早くフォーカスした国際コンペティション映画祭として、映画産業の変革の中で新たに生み出されたビジネスチャンスを掴んでいく若い才能の発掘と育成を主軸に成長を重ねてきました。そして今年、第15回の節目を迎えます。
15回目を迎えるにあたり、「若手映像クリエイターの登竜門」としてより一層の強化を図るべく、本映画祭の中核である「コンペティション」のリニューアルを図りました。国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)の2部門3カテゴリーで上映します。本年は過去最多となる98の国と地域から、合計832本の応募がありました。
審査員は、国際コンペティション、国内コンペティションともに、国内外の映画業界の第一線で活躍する方々で構成されています。第一次審査を経てノミネートされた作品は、映画祭期間中に上映・審査され、最終日に最優秀作品賞をはじめとする各賞が発表・授与されます。また国際コンペティション、国内コンペティションを通じた国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対し「SKIPシティアワード」を授与します。
また会期中には、審査員や作品関係者をはじめ世界各国からゲストが多数参加し、観客の皆様との交流も図っています。
多彩な特集企画で彩る、記念すべき15周年
節目の年に相応しく、コンペティション以外にも充実したラインナップが本年の特徴です。オープニングでは、地元川口市が製作した新作映画『君がまた走り出すとき』をワールド・プレミア上映。さらに「15周年特別企画」と題し、日本映画界をリードする埼玉県出身の新鋭監督たちにスポットを当てた特集や、古今東西の名匠を追ったドキュメンタリー特集、映画の面白さを子どもから大人まで一緒に楽しめる特集、近年話題のVR(バーチャルリアリティ)特集など、記念回を彩る企画が揃いました。
映画祭をきっかけに続々と羽ばたく新世代の才能
これまで本映画祭で上映された作品や監督の多くが、その後国内外で目覚ましい活躍を見せています。 海外作品では、2007年に『うつろいの季節(とき)』で長編部門(国際コンペティション)最優秀作品賞を受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督が『スリー・モンキーズ』(08)でカンヌ国際映画祭監督賞、『昔々、アナトリアで』(11)で同グランプリ、『雪の轍』(14)で同パルムドールと、3作連続での受賞を果たしました。また本映画祭の上映をきっかけに日本での劇場公開が実現した『シンプル・シモン』[2011年長編部門(国際コンペティション)審査員特別賞]や、『孤独のススメ』[2014年長編部門(国際コンペティション)最優秀作品賞/映画祭上映タイトル『約束のマッターホルン』]、『リベリアの白い血』[2016年長編部門(国際コンペティション)ノミネート/映画祭上映タイトル『アウト・オブ・マイ・ハンド』]のスマッシュヒットも大きな話題を呼びました。
国内では、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で2009年長編部門(国際コンペティション)SKIPシティアワードを受賞した白石和彌監督が最新作『孤狼の血』(18)をはじめ立て続けに話題作を手掛け、今や日本映画界のトップランナーへと飛躍しています。さらに『チチを撮りに』[2012年長編部門(国際コンペティション)監督賞・SKIPシティアワード]の中野量太監督は『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)で商業映画デビュー作にして第40回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を含む優秀賞6部門受賞など映画賞を席巻し、『神奈川芸術大学映像学科研究室』[2013年長編部門(国際コンペティション)審査員特別賞]の坂下雄一郎監督が『東京ウィンドオーケストラ』(16)、『ピンカートンに会いにいく』(17)など一年余りで3本の新作を発表し話題を呼ぶなど、本映画祭を契機に、今後の活躍が期待される俊英が続々とチャンスを掴んでいきました。
本年も、まだ知られていない新たな才能の輩出を目指すとともに、チャレンジ精神に溢れたクリエイターが世界に羽ばたいていくことを願っています。