映画祭について
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭とは
“新たな才能を発掘し、育てる映画祭へ”
2004年に埼玉県川口市で誕生したSKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、今や映画の新たなスタンダードとなったデジタルシネマにいち早くフォーカスした国際コンペティション映画祭です。映画産業の変革の中で新たに生み出されたビジネスチャンスを掴んでいく若い才能の発掘と育成を主軸に成長を重ねてきました。そして今年、16回目の開催を迎えます。
本映画祭の中核である「コンペティション」には、国際コンペティションと国内コンペティションがあり、長編作品を対象にした国際コンペティションは広く世界中から応募された作品を、長編部門と短編部門の二部門で構成される国内コンペティションは、日本の若手映像クリエイターの作品を厳選して上映します。本年は92の国と地域から、合計861本の応募がありました。
審査員は、国際コンペティション、国内コンペティションともに、国内外の映画業界の第一線で活躍する方々で構成されています。第一次審査を経てノミネートされた作品は、映画祭会期中に審査され、最終日に最優秀作品賞をはじめとする各賞が発表・授与されます。また両コンペティションを通じた国内作品を対象に、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対し「SKIPシティアワード」が授与されます。
会期中には、審査員や作品関係者をはじめ世界各国からゲストが多数参加し、観客の皆様との交流も図っています。
続々と羽ばたく新世代の才能
これまで本映画祭で上映された作品や監督の多くが、その後国内外で目覚ましい活躍を見せています。 海外作品では、2007年に『うつろいの季節(とき)』で長編部門(国際コンペティション)最優秀作品賞を受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督が『スリー・モンキーズ』(08)でカンヌ国際映画祭監督賞、『昔々、アナトリアで』(11)で同グランプリ、『雪の轍』(14)で同パルムドールと、3作連続での受賞を果たしました。また本映画祭の上映を経て劇場公開された『シンプル・シモン』[2011年長編部門(国際コンペティション)審査員特別賞]や、『孤独のススメ』[2014年長編部門(国際コンペティション)最優秀作品賞/映画祭上映タイトル『約束のマッターホルン』]、『彼の見つめる先に』[2014年長編部門(国際コンペティション)脚本賞]、『世界で一番ゴッホを描いた男』[2017年長編部門(国際コンペティション)監督賞/映画祭上映タイトル『中国のゴッホ』]、『家へ帰ろう』(2018年国際コンペティション観客賞/映画祭上映タイトル『ザ・ラスト・スーツ(仮題)』)といった作品のスマッシュヒットは大きな話題となりました。
国内作品でも、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で2009年長編部門(国際コンペティション) SKIPシティアワードを受賞した白石和彌監督が『孤狼の血』(18)、『止められるか、俺たちを』(18)、『凪待ち』(19)をはじめ立て続けに話題作を手掛け、今や日本映画界のトップランナーへと飛躍しています。
また、2012年長編部門(国際コンペティション)で監督賞・SKIPシティアワードをW受賞した『チチを撮りに』の中野量太監督は、商業映画デビュー作『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)が日本アカデミー賞の二部門で最優秀賞を受賞し、続く『長いお別れ』(19)、『浅田家』(20予定)と話題を呼んでいるほか、2013年長編部門(国際コンペティション)審査員特別賞受賞『神奈川芸術大学映像学科研究室』の坂下雄一郎監督は、その後『東京ウィンドオーケストラ』(17)、『ピンカートンに会いにいく』(18)と二作連続でオリジナル脚本による商業映画を発表しています。
直近では、2018年の国内コンペティション(長編部門)優秀作品賞・観客賞をW受賞した片山慎三監督の『岬の兄妹』(18)がSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザの支援事業により全国公開され、各所で高い評価を得るとともに興行的にも大きな成功を収めました。
さらに、2018年の日本映画界最大の話題作であり、SKIPシティでも撮影された『カメラを止めるな!』(17)の上田慎一郎監督は、『恋する小説家』(11)、『テイク8』(15)で2度短編部門にノミネートされ、今年のオープニング作品『イソップの思うツボ』(19)の監督の一人として凱旋します。
本映画祭は、“若手映像クリエイターの登竜門”として、まだ知られていない新たな才能の輩出を目指すとともに、チャレンジ精神に溢れたクリエイターが世界に羽ばたいていくことを願っています。今年はどんな新星が現れるのか、観客の皆様もぜひご期待ください。