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【デイリーニュース】vol.05 関連企画「カメラクレヨン~子どもたちが作った映画がいま、面白い!~」 Q&A
プロもライバル視!? 子どもたちの映像制作
埼玉県内の小学生が授業で映像づくりにチャレンジする「映像学習プログラム」から生まれた5作品と、「川口子ども映画クラブ」が制作した短編映画2作品の発表会「カメラクレヨン~子どもたちが作った映画がいま、面白い!~」 が、ゲストに、NHKのバラエティ番組「チコちゃんに叱られる!」のエグゼクティブ・プロデューサー、西ヶ谷力哉さんと、CGチームリーダーの林伸彦さんを迎え、HDスタジオで開催された。人気番組のクリエイターからの講評に、参加した小学生の皆さんから「褒められてうれしい」と喜びの声が聞かれた。
登壇した林伸彦さん(左)と西ヶ谷力哉(右)さん
映像学習プログラムよりの5作品
まずは映像学習プログラムから。厳選された5本の「公共CM」を制作・出演した児童と指導した先生方が登壇し、そのテーマを選んだ理由や苦労した点などを語った。
「いじめの連鎖」舟戸小学校(左)、「みんなの居場所」戸塚南小学校(右)
1作目は川口市立舟戸小学校の「いじめの連鎖」。いじめが連鎖していく様子をノーカットで見せるアイデアが評価された作品ゆえに、「出演者が走り回りながら入れ替わるところがうまくいかず、テイク18までやりました」という苦労話も。西ヶ谷さんは「一番印象的なものを最初に見せて、見る方の気持ちを惹きつけた。連鎖するにつれ字幕が伸びていくアイデアもよかった」と講評。
2作目は川口市立戸塚南小学校の「みんなの居場所」。地球環境問題をモチーフにした公共CMで、林さんが「言葉を話す地球との対話という発想がすごい」と感想を述べると、西ヶ谷さんも「先ほどファーストカットが大事だと話しましたが、歩いている子どもたちを俯瞰で撮った2つめのカットもインパクトがあった。またチコちゃんが流行語大賞で負けた『そだねー』という言葉を使用し、内容を印象付けたのもよかった」と講評した。
「食べ物をむだにするな」片柳小学校(左)、「ポイ捨てをした末路」上青木南小学校(右)
3作目は坂戸市立片柳小学校の「食べ物をむだにするな」。食べ物を粗末にした子が食物に食べられてしまうシュールなラストシーンに、会場から笑いと「怖いー」の声が漏れた。林さんからの「小道具やカメラアングルが面白かった」という指摘のように、ゴミ箱の中から撮るなど興味深いカットも。一方、西ヶ谷さんは「食べられる側になった恐怖を大げさに表現することでメッセージを届けた」とコンセプトを評価した。
4作目は川口市立上青木南小学校の「ポイ捨てをした末路」。捨てられたゴミから産まれた怪獣ゴミラーが大暴れする物語に、林さんからは「怪獣登場のカメラアングルやその怪獣に踏みつけられるシーンの描き方が素晴らしい」とアングルについて、西ヶ谷さんからは「ベースが面白いので、怪獣についているゴミをひとつずつピックアップするだけで、もう少し長いお話にもできそう。来年も期待しています」と物語を評価するコメントがあった。
5作目は川口市立戸塚東小学校の「食べなきゃ有罪!朝ごはん」。給食を残す人が多い中、食品ロスの勉強をしたことで生まれたCM。朝ごはんを残した子が裁判所で裁かれる様子を、裁判、判決が発表される裁判所前、それを報道する号外で表現した。林さんはスポットライトなどを使って感情表現したことを、西ヶ谷さんは裁判の行方を場面転換で描いたことを評価した。
川口子ども映画クラブ制作の短編映画2作品
続いて川口子ども映画クラブで作られた2作品が上映された。2作品とも今年1月に開催された「マイナビ第3回日本こども映画コンクール」の入選作品だ。
『MISSION INCREDIBLE』(左)、『私立探偵ミライ』戸塚東小学校(右)を制作した川口子ども映画クラブ
最初の作品は「MISSION INCREDIBLE」。“半核融合爆弾”の発射をめぐり、3人のエージェントが、世界をまたにかけて活躍するアクションもの。潜水艦や飛行機、砂漠を走る車、実は最先端機器が内蔵されているピラミッド、そして爆弾が発射された宇宙空間など、様々な特撮表現を使ってスリリングなドラマが展開された。林さんはその特撮技術を、西ヶ谷さんは人物の個性が描かれた脚本を、「悔しいくらい完成度が高かった」と評価した。
2作品目は「私立探偵ミライ」。おじいさんやおばあさん、挙句に幽霊からの依頼を聞き届けるクールな少女探偵と、勇者に剣を渡してほしいという妖精たちの願いを遂行する生真面目な少年探偵が活躍する不思議な作品。西ヶ谷さんはイラストを描いて最初にキャラクター設定をしっかり決めて撮影したことに、林さんは妖精たちのブルーバック撮影と合成に感心するコメントを述べ、2019年の「カメラクレヨン」の上映は終了。
最後に林さんが「チコちゃんもそうですが、CGで作っていても観ている人にそれを意識させてしまったらむしろ失敗。楽しいものを作れるようお互い努力しましょう」と、西ヶ谷さんも「本日は、皆さんをある種の仲間、ライバルだと思ってここに来ました。たくさんの方に観てもらうことは、表現者にとって楽しいことであり、緊張感をともなうことでもあります。皆さんにはどんどん面白い作品を作っていただき、いつかまた映像の現場でお会いしましょう」と、エールを送った。