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【デイリーニュース】vol.14 短編③『スカーフ』『ぜんぶ東京のせいだ』『産むということ』Q&A

男女3人の高校生の成立しない恋、冴えない男と不思議な少女のファンタジー、出生前診断を巡る夫婦の葛藤と選択

(左から)『スカーフ』の的場政行監督、出演の松山菫さん、前田紗葉さん、『ぜんぶ東京のせいだ』の村木雄監督さん、出演の遠藤麗美さん、遠藤里沙さん、『産むということ』のマキタカズオミ監督、江原大介さん

 

国内コンペティション短編部門『短編③』は、同性に思いを寄せる女子高生を軸にした恋愛劇『スカーフ』、人生をあきらめかけた男が自分にしか見えない少女によって新たな一歩を踏み出す『ぜんぶ東京のせいだ』、子どもに障碍のある可能性を指摘された夫婦の葛藤を描く『産むということ』と、個性的なテーマに満ちた3作品。それぞれの監督、出演者がQ&Aで作品に込めた思いを語った。

 

スカーフ』は的場政行監督と出演の松山菫、前田紗葉が登壇。主演の松山は原案としてもクレジットされているが、「私の兄は性同一性障害で、もともと女性だったんですが、現在は男性として暮らしています。LGBTが特別ではない環境だったので、そこが際立つように想像したわけではなく、普通の女子高生として考えました」と、さらりと言ってのけた。

 

その題材を受けた的場監督は、「見た人の心に何かが残ればいいと思い、自分でも発見のある上映でした」と手応えを感じた様子。冒頭を含め画面を分割する手法について質問が飛ぶと、「冒頭は撮影ではカットバックだったけれど、つなげてみたらちょっと違ったんです。女子高生の気持ちなんて分からないところからの出発だったので、分割してみたらその気持ちに多少は近づけたような気がした」と意図を説明した。

 

(左から)『スカーフ』の的場政行監督、出演の松山菫さん、前田紗葉さん

 

ぜんぶ東京のせいだ』の村木雄監督は、俳優として活動しており今作で監督デビュー。「監督業は避けてきて自信がなかったが、俳優を離れて俯瞰で映画を見た時に、1回くらい挑戦したいと仲間と話したのがスタートだった」と振り返った。

 

不思議な少女を演じた子役の遠藤麗美は、「できないところを監督がいろいろとアドバイスしてくれたら、できたので(監督は)すごいと思いました」と感謝。さらに、「12月の撮影だったので、服も薄くて寒くて大変だったけれどスタッフ、共演者の皆さんが優しくしてくれたので、少し心が温まりました」と心憎い発言で会場を沸かせた。

 

(左から)『ぜんぶ東京のせいだ』の村木雄監督、出演の遠藤麗美さん、遠藤里沙さん

 

産むということ』のマキタカズオミ監督は、主宰する劇団の俳優で主演の江原大介の話からヒントを得たという。「身近に出産を控えた人がいて、いろいろな事情があって産むかおろすか悩んでいた時に、周りは当然産むだろうという空気があったという話で、とてもいいと思った。いい、悪いではなく、どちらの意見も尊重したかった」と語った。

 

江原は初のプロデュースにも挑戦し、「映画1本を作るのは大変だと実感した。どれだけの費用、人物が必要なのかも身にしみた。でも、1から映画に関われるのはやっぱり面白い」と満面の笑み。子どもに障碍があることで「愛せる自信がない」という江原のセリフがあるが、マキタ監督は「とても重いけれど、信頼し合っている夫婦だからこそ言えた言葉です」と持論を展開した。

 

(左から)『産むということ』のマキタカズオミ監督、江原大介さん

 

短編③」の次回上映は、7月19日(金)14時から多目的ホールで行われ、Q&Aも予定されている。