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【デイリーニュース】vol.17 『バカヤロウの背中』藤本匠監督 Q&A
感じた手応え、こだわりのラストシーン!
『バカヤロウの背中』の藤本匠監督
国内コンペティションの出品作『バカヤロウの背中』は、結婚間近のカップルが暮らすシェアハウスに、男性の元カノが5年ぶりに転がり込んできたことから広がる波紋を軸にした恋愛模様を描く。藤本匠監督の武蔵野美術大学の卒業制作で、製作、脚本、編集、音楽も兼ねる多才ぶりを発揮している。
「はっきりしない男性にすごくイライラする女性がいらっしゃると思うのですが、そのはっきりしなさをやりたいなと思ったのがきっかけ。そして、普段は強面でがみがみ言う彼女も、相手がいなくなると『ハァ~』と弱気なる。そんな2人の関係性を描きたかった」と言う藤本監督。カップルの2人には、所属する演劇集団「幻灯劇場」の本城祐哉と鳩川七海を起用した。
峻は定職を持たない甲斐性なし。一方の雪は正社員となってバリバリ働くキャリアタイプ。付き合って5年になる2人だが、峻がふとしたタイミングで「一緒にならへんか」と言ってしまったために雪の束縛に拍車がかかり、さらに元カノの軌余子が隣の部屋に住み始めたことで、峻のフラストレーションが徐々にたまっていく。
藤本監督が以前に通っていた金沢美術工芸大学の同期の女性が、次々に結婚していく姿を目の当たりにしたのがアイデアの端緒。
「彼女にふいに言ったひと言が、“あな恐ろしや”な仕打ちにつながる。口走ったら怖いというコメディにならないかなと思いついたんです。僕はもうちょっとちゃんとしたいと思っていますけれど」と、冗談めかしながら明かした。
峻はすべてから逃げ出し、家を飛び出すが、そこに至る心情を描く象徴的なダンスシーンがある。主演の2人がダンサーとしても活動していることもあり、「脚本は、過去のいろいろなことが想起されて、もうイヤやという詩的な感じに書きました。でも家という空間から出る、そんな大きなテーマをフィジカルに描くため、撮影の前日に(ダンスを)提案しました」と言う。
それでも、ラストシーンの描写に関しては企画段階からブレていないそうで「何かが伝わったと思う反応が得られた」と手応え十分の様子。音楽についても、「最初にアコースティックギターのメインテーマのイメージがあって、撮影でも役者の芝居をそのテンポ感で撮っていった。芝居のアンサンブルを音楽のように表現したかったんです」と説明していた。
『バカヤロウの背中』の次回上映は、7月20日(土)14時から映像ホールで行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。