7月15日(日)
『短編(1)』 Q&A 『ユメのおと』『棒つきキャンディー』『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』
(左から)『ユメのおと』の角川裕明監督、『棒つきキャンディー』の酒井麻衣監督、『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』の和島香太郎監督、田邉幸太郎プロデューサー
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012は、14日のオープニング・セレモニー&上映に引き続き、15日からいよいよコンペティション部門の上映が始まった。
今年の短編部門には国内から159作品がエントリー。力作が数多くノミネート枠が昨年より3本多い15作品に広げられ、3作品ずつ5プログラムに分けて上映される。コンペ上映の先陣を切った『短編(1)』では、『ユメのおと』『棒つきキャンディー』『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』が上映され、上映後には各作品の監督によるQ&Aが行われた。
『ユメのおと』は、聴力を失い歌手になる夢を諦めた女性と彼女に惹かれていく青年の心の交流を、なんとミュージカル形式で描いたドラマ。映画祭始まって以来のミュージカル作品だが、角川裕明監督は「日本にはなぜミュージカル映画がないのか」と昔から思っていたのだとか。
「外国のミュージカルって、突然歌い出したりアクションがオーバーだったり、日本でそのままやるとコメディになってしまうと思うんです。どうしたら違和感を払拭したミュージカル映画を作れるかを考えました。今回の作品は出発点。これからも日本の国民性に合ったジャパニーズ・ミュージカル・シネマを作っていきたいと思っています」。
『棒つきキャンディー』は、少女漫画を描いている漫画家と、彼女が描いている漫画の世界が融合する瑞々しい青春映画。現在京都造形大学で学んでいる酒井麻衣監督は、授業でこの作品を制作した。
「棒つきキャンディーは、自分も高校生の時にたくさん食べていて、青春の象徴みたいなものです。初めて作った映画だったので戸惑ったりもしましたが、先生や仲間たちに助けられて。演出面ではいろいろ詰め込んで、却ってわかりにくいところもあるかもしれませんが、やりたいことをやりつくした、という感じです」。
『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』は、妻の入院に伴い幼い娘と2人で暮らすことになった父親の戸惑いを描く。黒田三郎の詩集「小さなユリと」を映画化した作品だ。ユリを演じた2歳のはなりちゃんの“演技”が圧倒的。和島香太郎監督は、自身も母親の入院のために父親と2人で暮らした経験があると話す。
「詩集を読んで、あの時の父の焦りや不安な顔が甦ってきて、ぜひ自分が監督したいと思いました。詩を持って生きている人たちを描きたい。一篇の詩と出合ったことで心が軽くなる感触を映像で伝えられたら、と思います。この家族がこの後どう変化していくのか、続編も撮りたいと思っています」。
『短編(1)』は、18日(水)14:30から多目的ホールでも上映される。