映画祭について
ディレクターメッセージ
私は、第1回から昨年の第12回まで長年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭のディレクターを務めてこられた瀧沢裕二氏に代わり、本年から本映画祭のディレクターを務めます土川勉です。瀧沢氏をはじめ諸先輩が築いてこられた本映画祭の伝統を引き継ぎ、更なる発展に向け邁進する所存でございます。
さて、今年の本映画祭は応募作品数が長編部門715本、国内の短編部門・アニメーション部門が計204本で応募総数では前年を大幅に上回り、また海外からの応募国数は88か国で過去最多となりました。本年は中南米のバルバドス、大洋州のバヌアツ共和国、サモア独立国、中東のアフガニスタン・イスラム共和国の4か国が初の応募となりました。このように全世界の多くの国からの応募は本映画祭に対する関心の高さも当然あると思いますが、デジタル技術の向上のため映画製作がより身近なものになり、かつ応募も簡単にできるようになった結果でもあると思われます。それはDシネマ映画祭と銘打っている本映画祭が目指すデジタルの必然性が、世界をより身近なものにする力を持っているように感じます。
今年の長編部門(国際コンペティション)には、初参加国南太平洋のバヌアツを舞台にした、バヌアツ版「ロミオとジュリエット」と言うべき切ない恋愛映画『タンナ』、中央アジアのキルギスからはカインとアベルの聖書物語の現代版『アンダー・ヘヴン』、映画大国インドから初のノミネート作品で、いまだ根深く残る階級格差の中で女性のあるべき姿を考える『ニュー・クラスメイト』など世相を反映しつつもエンターテインメント作品としてより多くの皆様に楽しんでいただける12作品を揃えました。ご期待ください。
コンペ作品のラインナップの充実と同時に、本映画祭が目指すものとして「若手作家の発掘と育成」があり、それを具現化すべく昨年より本映画祭や彩の国ビジュアルプラザに関係する若い作家たちから企画を募集して映画祭のオープニング作品を製作しています。昨年は福山功起監督の『鉄の子』を上映しましたが、今年は熊谷まどか監督が初めて長編作品に挑んだ『話す犬を、放す』を製作しオープニング上映します。認知症の母と娘、二人が不思議な体験を通して、互いの葛藤を理解し合い、そして再生する物語です。現代的なテーマの中にユーモアと涙を交え素敵な作品に仕上がっています。ご期待ください。
最後になりましたが、数多い応募作品を選考して頂いた1次審査員の皆様や本映画祭に関わる全てのスタッフ・関係者の皆様にこの場をお借りして感謝の意を表したいと思います。