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【デイリーニュース】vol.07 『ミは未来のミ』磯部鉄平監督と出演者 舞台挨拶/Q&A

2年連続国内コンペ出品となった磯部鉄平監督の青春グラフィティ

(左から)磯部鉄平監督、櫻井保幸さん、カレンさん、桜木梨奈さん、新井敬太さん、松本知道さん、藤本直人さん、中藤契さん、坂城君さん、森恵美さん、蓮池桂子さん

 

ワールド・プレミアとなった国内コンペティション部門の出品作『ミは未来のミ』は高校生たちが亡き親友の約束を守るために、ある行動に出るという青春グラフィティだ。メガホンを取ったのは、2018年の本映画祭国内コンペティション短編部門で優秀作品賞を受賞した『予定は未定』の磯部鉄平監督。本作は初長編作品で、2年連続での国内コンペティション出品となった。

 

主人公は、高三の秋になっても進路を決めかね、焦りを感じながらもダラダラと毎日を過ごしている拓也(櫻井保幸)。ある日、仲良しグループの高木が交通事故で死去。拓也はある約束を果たすため仲間を集める……。脚本は『予定は未定』と同じ永井和男が担当し、本作でも磯部&永井コンビならでは、のユーモアが随所に織り込まれている。

 

舞台挨拶では磯部監督を始め、総勢11人がズラリ。出演者たちは久々の再会だったようで、「同窓会みたいだ」と話し、SKIPシティでのワールド・プレミアを喜んだ。続くQ&Aでは、磯部監督、櫻井保幸、桜木梨奈の主要キャスト2人が登壇した。

 

(左から)磯部鉄平監督、櫻井保幸さん、桜木梨奈さん

 

磯部監督は「SKIPシティには思い出があるんです。助監督を務めた『見栄を張る』(藤村明世監督作、16年の長編コンペティション部門SKIPシティアワード賞受賞作)の時にも通って、自分でも映画を作りたいと思った。短編(『予定は未定』)でも来られたので、今度は長編でも来たくなった。だから、自分が大切にしている話で映画を作りたかったんです。親友が亡くなって、(隠していた)エロ本を捨てよう、という実話が基になっています」と映画祭への思い入れを語る。

 

主演の櫻井保幸も、本映画祭に縁が深い若手俳優だ。2018年の本映画祭SKIPシティアワード受賞作『彼女はひとり』(18/中川奈月監督)、本年度は同じ国内コンペティション長編部門に出品されている『サクリファイス』でも重要な役を演じている。
「去年も、『彼女はひとり』で映画祭に来ていた。同じく短編で入選されていた磯部監督が次回作でのキャストを探しているという話を、会場に来ていた映画好きのおじさんから聞いたんです。おじさんは『磯部さんの作品に櫻井くんが合っている』と言ってくれた。後日、オーディションの話を聞いて、参加させていただきました。名前も知りませんが、その方のおかげです」と話した。

 

姉役を演じた桜木は実は同い年の29歳。「劇中では、10ぐらい離れている設定の役だったのですが、よく見たら、年齢が一緒やん。でも、現場に入ったら、そのままやればいいと思いました。私自身も、弟がいるお姉ちゃんなので、マッチしたんだと思います」というと、櫻井は「僕がガキっぽいから。実際、僕にも上に姉がいるんです」と話した。

 

磯部監督は関西在住だが、映画は都内でロケ。ほとんど打ち合わせはできなかったそうで、櫻井が「現場で作っていく感じでした。とても大変でもあったんですけども、ぎゅっとしたもの、集中力があった。みんなの掛け合いがうまくいったのではないか」と言うと、桜木も「櫻井さんが空気を作ってくれた」と主役を全うした櫻井を褒める。

 

磯部監督も「台本は20稿くらい書いて、詰めてきた。(櫻井が)できることもオーディションで分かっていた。できなかったら、臨機応変に変える。脚本は練ってきたけれども、こだわらなかった」と言い、現場では俳優陣との信頼関係が出来上がっていたようだ。

 

それでも、櫻井はラストシーンの演技に苦労したそうで、「何度も『もう一回』『櫻井くんならできる。やって!』と言われました。自分としては出し尽くして、からっぽの状態だったんです。でも、出来上がったものを観たら、最初のテイクが使われていた」と少しボヤくと、磯部監督は「そういう時もありますよね。1回目でいいのが出てくると、いつも悩むんです。(櫻井は)最初から正解を出していたんですね」といい、その演技を讃えていた。

 

ミは未来のミ』の次回上映は7月17日 (水)14時から多目的ホールで行われ、ゲストによる舞台挨拶とQ&Aも予定されている。