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【デイリーニュース】 vol.26 クロージング・セレモニー(表彰式)開催!
いまという時代を映し込んだ映画を味わった10日間
クロージング・セレモニーに登壇した受賞者、審査員ら
7月13日(金)から10日間にわたって開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018。15回目の世界98の国と地域から計832作品の応募があり、映画祭ではその中から厳選された国際コンペティション部門10作品、国内コンペティション長編部門4本、同短編部門9作品が上映された。最終日の22日(日)には、クロージング・セレモニーと表彰式が行われ、SKIPシティ国際映画祭実行委員会会長の上田清司埼玉県知事、八木信忠総合プロデューサーらのあいさつに続き、各賞の受賞作・受賞者が発表された。国内コンペティション部門の桝井省志審査委員長、国際コンペティション部門の真起子の総評に続き、土川勉映画祭ディレクター、SKIPシティ国際映画祭実行委員会副会長の奥ノ木信夫川口市長受賞者の挨拶で、映画祭セレモニーをクローズした。
受賞コメント、および審査委員長の総評は以下の通り。(*受賞一覧はこちら)
【国際コンペティション】
(左から)『ナンシー』ミシェル・キャメロン プロデューサー、『あの木が邪魔で』ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン監督、『ザ・スワン』ビルギッタ・ビヨルズドッテル プロデューサー
最優秀作品賞
『ナンシー』クリスティーナ・チョウ監督、ミシェル・キャメロン プロデューサー
プロデューサーのミシェル・キャメロンがトロフィーを受け取った。
「この作品につぎ込んだ多大な努力が受賞という形で報われてとても光栄です。地球の反対側のまったく文化の違うところで、この物語が受け入れられ、感動を呼んだということはとてもマジカルですし、これこそが映画の力だと思います。映画祭に参加できたことに感謝します。日本が大好きになりました(笑)」
『ナンシー』のミシェル・キャメロン プロデューサー
監督賞
『あの木が邪魔で』ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン監督
「賞をいただいて、とても光栄に思うと同時に驚いています。映画祭に参加させていただいたことに感謝します。日本は初めてだったのですが、1週間の滞在では、とてもいい時間を過ごすことができました。素晴らしいサポートしてくれた、友人でありプロデューサーであるグリマール(・ヨンソン)には、感謝しています。もちろん審査員の皆さんにも感謝します。皆さんは非常に趣味がいいですね(笑)」
『あの木が邪魔で』のハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン監督
審査員特別賞
『最後の息子』シン・ドンソク監督
仕事の都合上、映画祭への参加が叶わなかったドンソク監督からは、ビデオメッセージが寄せられた。
「審査員と映画祭スタッフの皆さんに感謝します。今回の受賞、また、日本の観客の皆様に私たちの作品をご覧いただけましたことは、とても光栄です。次回はぜひ映画祭に参加したいと思います」
ビデオメッセージで受賞の喜びを語った『最後の息子』のシン・ドンソク監督
スペシャル・メンション(審査員により今回特別に追加された賞)
『ザ・スワン』アウサ・ベルガ・ヒョールレーフズドッテル監督、ビルギッタ・ビヨルズドッテル プロデューサー
「賞に選んでいただいいた映画祭に感謝します。おもてなしも温かく、とても楽しい時間を過ごすことができました。どうもありがとうございます」
『ザ・スワン』ビルギッタ・ビヨルズドッテル プロデューサー
【国際コンペティション部門総評】
渡辺真起子審査委員長は、「記録的な猛暑のなか通ってくださった皆様、ボランティアの皆様、主催の方々にお礼申し上げます。国際コンペティションには全10作品、合作を含めてデンマーク、フィリピン、アイスランド、ドイツ、エストニア、スウェーデン、スペイン、アルゼンチン、韓国、ロシア、コソボ、オランダ、ポーランド、そして日本の作品がそろいました。どれも見応えがあり、とても丁寧に制作されたことは、作品そのものから感じることができました。時に心がいっぱいになり、感情的になることもありましたが、審査はスムーズに進めることができたと思います。選ばれなかった作品も繊細で優しく、人生にどんなつまずきがあっても、よりよい明日を目指して先に進んでいけるヒントが置かれていました。制作した皆さん、俳優の皆さん、誠実に物語と向き合う姿を見せていただきありがとございました。多くの女性監督、スタッフがそれぞれの作品に参加していたことにも大きく励まされました。映画を楽しんでくださった観客の皆さんにも感謝します」と話した。
渡辺真起子国際コンペティション部門審査委員長
【国内コンペティション部門】
(左から)『彼女はひとり』中川奈月監督、『岬の兄妹』の片山慎三監督、『予定は未定』の磯部鉄平監督、『口と拳』の溝口道勇監督
SKIPシティアワード
『彼女はひとり』中川奈月監督
「映画祭で上映する機会を与えていただいたことがまず嬉しいんですが、さらにこのような賞をいただけて本当に嬉しいです。この作品は大学院の修了制作で、どうなるかわからない状態で脚本を書き、その脚本のおかげでプロのスタッフの方々や役者さんに集まっていただき、たくさんの人に助けてもらいました。その映画でこのような賞をいただいて、皆さんにご報告できることを嬉しく思います」
『彼女はひとり』の中川奈月監督
優秀作品賞・長編部門
『岬の兄妹』片山慎三監督
「1年間、長い間の撮影に協力してくれたスタッフ、キャストの皆さん、どうもありがとうございました。正直、賞をいただけるとは思っていなかったので、受賞コメントは全く考えていませんでした、すみません(笑)。初めて出品した映画祭でこのような賞をいただいて、本当に嬉しく思います」
『岬の兄妹』の片山慎三監督
優秀作品賞・短編部門
『予定は未定』磯部鉄平監督
「僕は映画を始めたのが30歳くらいで、少し人より遅かったと思いますが、そこから映画学校に入り、卒業してからは『映画を撮りたい』と言いながら撮らずにいました。映画のスタッフをしているときにヒロインの屋敷紘子と出会い、彼女に出てほしいと思ってこの脚本を書きました。その映画でこういう賞をとれたのは本当に嬉しいです。2年前にこの映画祭で上映された『見栄を張る』の助監督をしていて、その映画で若い女性監督の姿を見て自分も監督しようと思い、背中を押されたので、このSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で賞をとれたことは本当に光栄です」
『予定は未定』の磯部鉄平監督
審査員特別賞・短編部門
『口と拳』溝口道勇監督
「映画祭で皆さんに作品を見てもらう機会を与えていただき、さらに賞までいただいて、映画祭の皆様に感謝しています。今回、スタッフとキャストには結構な苦労というか、大変な思いをさせてしまったので、今後はもっとよりよい環境で映画制作をすること、皆様に見ていただける機会が持てるように頑張りたいと思います」
『口と拳』の溝口道勇監督
【国内コンペティション部門総評】
桝井省志審査委員長は、「今回感じたのは、アニメーションのプロフェッショナル、大学の卒業制作や修了制作として制作した学生、助監督や映画のスタッフとして現場を支えている方たち、さらに俳優、CMディレクター、会社員、フリーターなど様々な人の作品が集まったということです。映画を作る人の底辺が広がって、皆さんが自由に映画を作っていることを大変素晴らしく、また羨ましく思います。私はたまたま審査員という立場ですが、皆さんと同じ作り手の一人。皆さん一人ひとりの人生に、作品を通じて触れることができて感動的でした。皆さんは生活してくことと映画を作ること、両方の作業で苦労されていると思います。その中で作品としてメッセージを発信されていることに敬意を表します。賞を逃した方々もこれから活躍されることを確信していますし、私も皆さんの活躍をサポートしていきたいと思います」と語った。
桝井省志国内コンペティション部門審査委員長